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          日向ぼっこ



 その日はとても温かな春の日でした。

 例年よりも暑かったり寒かったり、気温の安定しない日々の続くこの頃。その日は珍しく、朝からとても穏やかな春の日差しが空から降り注いでいました。
 こんな日にする昼寝は、さぞかし気持ちの良いものでしょう。
 その至福のひと時を求め、黒髪の青年――高町恭也は座布団を一つ小脇に抱えて縁側へとやって来ました。ぽかぽかの日差しが当たる縁側は昼寝には最適の場所です。

「――ん?」

 しかし同じことを考えていたのはどうやら彼だけではないようです。一匹の子狐と二匹の猫が体を丸くして眠っていました。

「まいったな」

 三匹はとてもよいポジションにいる為、恭也が昼寝をするには彼女たちに少々退いて貰わなければなりません。しかし折角いい気持ちで寝ているところを起こすのは可哀想です。
 どうしたものか。
 困って考え込む恭也の視界にふと、向かいの家の屋根、そこで眠っている猫の姿が映りました。
 恭也は子狐たちを起こさないよう静かに庭へ出ました。そして自宅の屋根を見上げて、

「ふむ」

 口許に少しだけ笑みを浮かべました。


          ☆ ★ ☆


 廊下を一人の女性が歩いていました。栗色の髪に青い瞳をしたその女性――フィアッセ・クリステラは、恭也の名前を呼びながらリビングなどを覗いていました。

「うーん、どこ行っちゃったのかな?」

 珍しく休日にお仕事が休みになったフィアッセは、この折角の機会を恭也と過ごそうと考えていました。しかし部屋にいるかと思っていた彼の姿はどこにも見当たりません。

「ここにもいない……」

 てっきり昼寝でもしているのかと思っていた縁側では、一匹の子狐と二匹の猫と四匹の子猫が体を寄せ合って眠っているだけで、恭也の姿はありませんでした。
 本当にどこに行っちゃったんだろう? 家の中は捜し尽くしました。あと残っている場所といえば庭と道場の中だけです。

(もしかしたら練習してるのかな?)

 たとえ休日だろうと体を鍛えることを忘れない恭也のことです。道場でいつもの訓練に励んでいるのかもしれません。
 フィアッセは眠っている皆を起こさないよう注意しながら庭へ出ました。道場に向かおうとして――

「あれ?」

 庭に出てすぐ横。本来なら物置に仕舞われている脚立が置いてあることに気が付きました。
 誰かが使って仕舞い忘れたのかな? フィアッセは何となく顔を上げ、

「え……――きょ、恭也!?」

 二階の屋根の上に、捜し人の姿を発見しました。

「……ん、フィアッセか?」

 どうやらフィアッセの声に気が付いたようです。恭也は体を起こして庭に立つ彼女の姿を見下ろしました。彼からすれば何でもない行動ですが、フィアッセは大慌てです。

「あ、危ない! 危ないよー!」
「平気だよ。それよりフィアッセも上がって来たらどうだ? 結構気持ちいいぞ」

 フィアッセの心配もどこ吹く風、恭也はのんびりとそんなことを言います。
「もう……」フィアッセは呆れと少々の機嫌の悪さを交えたような顔で、頬を少しだけ膨れさせました。
 そして脚立を上がっていきました。


          ☆ ★ ☆


 恭也に手を取って貰いフィアッセは一階の屋根に上がりました。しかしそこから二階の屋根に移るのは、フィアッセにはちょっと無理そうです。
 すると恭也が彼女の耳元で言いました。
「少しの間じっとしてて」
「えっ――――きゃっ!」
 気が付いたときには、フィアッセの体は恭也に抱き上げられていました。そして彼はとん、と軽く二階の屋根に飛び移りました。
 しっかりと足場を確認してからフィアッセを下ろします。
「わあーっ」
 途端、フィアッセの口から歓喜の声が上がりました。
 普段は見ることの出来ない景色が、そこには広がっていました。丘の上から見下ろすのともまた違う、知っている町の知らない景色。猫たちが見る町の景色。
「な? 結構気持ちいいだろ?」
「うん。とっても」
 フィアッセは笑顔で答えました。
 怖くなんてちっともありませんでした。初めて目にするこの町の新しい景色と、自分の背中を支えてくれている彼が、彼女から恐怖を取り除いていました。
「猫さんたちがお昼寝したくなるのも解るね」
「そうだな」
 二人は冗談めかして言って、屋根の上に寝転がりました。
 恭也が枕代わりに持って来ていた座布団をフィアッセに貸そうとすると、彼女は首を横に振って、
「私はこっちがいいな」
 恭也の腕をそっと掴みました。
「やれやれ」
 仕方ないという感じで恭也は片腕を伸ばし、フィアッセの頭の下に、腕枕にしました。
「ふふっ」
 フィアッセは嬉しそうに笑って恭也の方へと身を寄せました。殆ど抱き付いているような形で、恭也は頬を赤くします。
「ちょっと……近過ぎないか?」
「そう? でもしっかり掴まってないと落ちちゃうかもしれないでしょ?」
 そう言ってフィアッセは小さく舌を出しました。歌だけでなく、こういうところもどうやら母親ゆずりのようです。
「まったく」
 やはり仕方ないというように言いながらも、恭也はフィアッセのことを自分の方へ引き寄せました。

 一匹の猫が屋根の上にとん、と上がってきました。しかし二人の姿を暫く眺めた後、猫は何も言わずに去って行きました。
 それはとても温かな春の日でした。

〈了〉






 はじめましてとお久しぶりですどうも天田ひでおです。
〝フィアッセ×恭也応援SS〟如何でしたでしょうか?
 ええ、はい。そうです。オチは特にありません(ぉ
 ごめんなさい。そこはもう、本当にごめなんさいとしか言いようがありません(ぉぉ

 それはそれとして(笑)フィアッセ×恭也いいですよね。具体的に言うとあのフィアッセさんの温かい笑顔が(以下フィアッセ×恭也について延々語られるが長いので割愛)

 ちなみにこのSSは『ひだまりスケッチ ようこそひだまり荘へ』を読んで思いつきました。ひだまりスケッチいいですよね。僕はアニメから入ったんですがあの(以下ひだまりスケッチについて延々語られるが長いので割愛)

 とまあそんわけで、フィアッセ×恭也応援宜しくお願いします(w 


魔術師のお礼状

ということで、常連さんの天田さんからフィアッセ×恭也のSSいただきました。
ほのぼのしてて実に『とらハ』らしい作品だなと思います。
また、文章のノリと言うか文体が、童話チックなので、まるで絵本を読んでるようなくすぐったい感じがしますね。

オチがない、と上で仰ってますが、これが童話ならこれで良い、と言うか、これこそが相応しいんじゃないかな。

黒髪の青年と金髪の女性、二人は一日ネコさんのように、太陽の恵みを一杯に受けて、幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし。

みたいな。
何故、僕の中でボイスなのはチャンなのかは置いておくとしてw

感想などについてはいつもの通りでよろしくね~


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