毎回毎回ホントしつこいけど、相変わらずの青い海と空、そして白い雲と砂浜

耳に届くは潮騒
肌に照らすは陽光
鼻を擽るは潮の香り

そして眼に映るは・・・・・・平和そのものの風景


「ああ、俺って幸せだな〜」


「おいおい、坊主。これのどこが幸せな風景だよ?」


尻に乖離剣エアが刺さったまま地面に倒れているギルガメッシュを指差す


「え?俺には何も見えないぜ」


肩を竦めるランサー


「ま、俺には関係ねーから良いけどな、ところでお嬢ちゃんはどうした?」


「凛ならジュースを買いに行きましたよ」


「もう戻って来たわよ」


「ヒャ!!」


遠坂の言葉と共に首筋に冷たい感触


「ふふふ、びっくりした?」


笑いながら俺にコーラを投げてよこす遠坂。


「遠坂、びっくりして心臓止まるかと思ったぞ」


「桜、ライダー、みんなー。
ジュース買ってきたから一休みしない?」


ム、俺の抗議は完全に無視ですか。


プッシュ!!


「!おい、遠坂!!」


俺を指差して笑う「あかいあくま」


「お前、コーラ振っておいたな!」


「あははは、士郎、かっこいいわよ、水も滴る良い男、ってね」


遠坂さん、これ水じゃなくてコーラなんですよ、
だからすっごいベタベタするんですが。


・・・・・・彼女に憧れてたのは、今は昔のこと
本性を知り、漠然とした憧れからもっともっと近しい、はっきりとした感情へ


だから、彼女の笑顔を見てると何もいえなくなる
心の底からの、少し意地悪だけど、本物の笑顔の遠坂はやはりかわいい


そう思うこと自体、すでにあくまに魅入られている気がしないでもないけどな。


「ああ、ベタベタして気持ちわりぃ」


「シロウ、良ければこれを・・・」


すっとハンカチを差し出してくれるセイバー
セイバーはやっぱり優しいな

だから、このさい、目をそらして笑いを堪えているのは不問にしておく


やはり、平和そのものだ
いや、ギルガメッシュはほっといて・・・・・・

「士郎、そういえば、柳洞君も来てるみたいね、さっきそれらしい人影を見たわ」


「一成が来てるのか?へぇ〜」


Fate in the sea

その3〜エミヤが水着に着替えたら



「あら、アーチャー、ジュ−ス飲む?」


相変わらず罰当たりにも聖骸布をふんどしにしたした、俺が絶対になりたくない、『逆』理想を極めた男、ミスター貧乳が遠坂の傍に立っていた。


「ああ、わざわざ持ってきてもらってすまないな凛、ではコーラをもらおうか」


ポイ、とコーラを投げて渡す


「う、うわ!凛、きみは・・・」


そしてお約束の通り、中身があふれ出し、もろに顔面に直撃
それを見て笑う遠坂。

過去と未来の衛宮士郎は、そろってコーラまみれにされてしまった。


「おっと、すまん」


コーラが目に入ったのか、アーチャーは後ろから来る人にぶつかったらしい。


「いや、余所見をしていたこちらも悪かった・・・って、なんだ衛宮ではないか」


・・・は?
俺はここに居るぞ、一成。
セイバーと顔を見合す


「久方ぶりだな、夏休みしばらく会わなかったからな」


どうやら一成はアーチャーに話しかけて居るらしい。
一緒に居る遠坂はもとより、アーチャー本人すらも目を点にしている。


「ムム、衛宮、随分と背が伸びたな」


「・・・ああ、成長期だからな」


いや、アーチャーよ。
成長期だからって夏休みに入って数日で20センチは伸びないだろう


「なるほどな」


いや、信じるのか!?一成


「驚いた、柳洞君、良くこれが士郎だってわかったわね」


「遠坂、何を言っている。
衛宮は俺の大切な友人だ、しばらく会わなかったと言えども目を見ればわかる」


・・・俺は今猛烈に感動している
遠坂、セイバーは当然として、俺ですら、衛宮士郎本人ですらあいつ(アーチャー)が衛宮士郎だと気が付かなかったと言うのに。


「一成、お前・・・」


アーチャーの口調が驚きのあまり昔に戻っている。


「この腐ったドブ川のような目をした男は、衛宮の他には居るまい」


「「人の事、どんな目で見てるんだ!!」」


「それはさておき・・・」


いや、俺としてはそこのところはっきりさせておきたいぞ、一成


「遠坂、貴様もう少し衛宮を気遣ってやれ!」


「は?」


「大変だったようだな、衛宮。
だから俺があれほど口を酸っぱくして、あの仏敵、遠坂凛には近づくなと言っていたではないか」


「ひ?」


「一体どれだけ酷使され続ければこんなに変わり果ててしまうと言うんだ?」


「へ?」


「恐らくこの肌の黒さはストレスで、肝臓を悪くしたためだろう?さらに、心労が祟ってこのような白髪に・・・
ああ!衛宮、何と痛ましい!!たかが数日会わなかっただけで、まるで十年も会ってなかったかのように変わり果ててしまったではないか」


「変わった理由はそうだが、一成、実際は何百年近く会ってなかった・・・」


アーチャーの声も一成には聞こえていない


「余程、辛い目にあったのだな衛宮」


滂沱のように涙を零す一成。


「そうなんだ、そうなんだよ一成、わかってくれるのはお前だけだ」


「どおしたのよ、アーチャー?」


驚いた、遠坂じゃなくてもそれは驚くだろう、
あの皮肉屋のアーチャーが、一成以上に、まるで滝のように涙を流している



・・・・・・・・・・余程ひどい目にあっているのか!?



「聞いてくれ、ひどいんだ全く。
セイバーには朝昼晩に三時のおやつ、そのどれか一品でもお気に召さないと、訓練に名を借りた拷問三昧
しかもだ、前日より僅かでも味が落ちると、それだけでエクスカリバーだぞ!?
一日一日ちょっとずつ、でも確実に肥えて行くセイバーの舌に追われ、料理人以上に料理の技術を上げることに追われる毎日、少しでも油断したら、即死につながる極限の食生活」



ピクッ



「しかもだ、宝石代宝石代って守銭奴のように俺の給料から金を持っていく、あかいあくま
働いても働いても毎月給料の50%以上を持っていかれるんだぞ?
ただでさえうちのエンゲル係数は高いのに!
おかげで俺の月のお小遣いは1000円だぞ?しかも昼食代込みでだ!
今時、中学生、下手したら小学生だってもっと貰っているのに、なんで一日15時間も働かされて、俺がこんな目に遭わなければならない!!?」」



ピクピクッ



「さらに、毎日毎日、桜のご機嫌取りだぞ!?
何か気にいらないことがあるとすぐに暴走するんだ!
いきなり、周りを飲み込むは、黒化したサーヴァントけしかけるは、俺の左手を食うは、街を飲み込むはで、俺は毎日ニトログリセリンを扱うよりも遥かに慎重に、桜様のご機嫌を伺わなければいけないんだぞ!?
正直言って慎二が歪んだ理由が良〜〜〜〜〜くわかったよ」



ニコリ・・・



「挙句の果てに、一緒に歩いているだけで補導される率がアップする、年中ブルマ着用のロリロリ悪魔っ娘のせいで、俺は商店街やご近所の皆様に何度「変態」と罵られ、石を投げられたことか!
挙句の果てに、付いた渾名が「冬木のマイ○ル」だと!!?
俺はロリじゃねえ!巨乳好きだ!!
そう叫んだら、今度は違う理由で留置所に連れてかれるし・・・
正義の味方どころか、俺が変態の王様みたいな扱いだったんだぞ!」



ムカッ



「そして、そして、最後の最後に俺は自らの理想にすら裏切られたんだ!
唯一の・・・唯一の俺を癒してくれたライダーの巨乳。
あれが・・・あれが・・・洗濯してたら寄せて上げるブラだったと知った時・・・」



嗚咽と共に飲み込んだ言葉
それは俺にもわかった。

愛したライダーの巨乳に裏切られた瞬間

正義の味方になる、それ以上に巨乳の味方になる事を誓った衛宮士郎は、結局その愛した巨乳にすら裏切られたのだ・・・



「そして、たった一人であの人数を相手に・・・
毎晩毎晩・・・・・・もう何も出ないと、血しか出ないと言っているのに無理矢理
第一寝る時間すらないし・・・」


「衛宮、泣け、辛い時は素直に泣くといい」


「一成・・・・・」


その華奢な見た目とは裏腹に、意外と逞しいその胸に収まった時、磨耗しきったはずのアーチャーの心に過去の記憶の断片が蘇った。




あれは、一時の休息を求めて柳洞寺に泊まった夜

「すまんな衛宮、俺の部屋は狭くて布団を二組も曳けないのだ」

頬を薔薇色に染めた一成に、何故か鍛え抜かれた心眼が反応して・・・



翌日、痛む尻を押さえながら、叫ばずには居られなかった



「世界よ、もうこんな辛い生活は一杯一杯っす!!
昨晩の記憶を消してくれ!ついでに俺のお小遣いを月2千円に上げてくれ!!
マジで、助けてくれるなら英霊でも掃除屋でも、なんでもやるから助けてくれ〜!!」


その日、衛宮士郎は世界と契約をした。
正義の味方ですら救えない、そんな誰かを何とかして救い出すために





ギュッっと、自分の肩に回された一成の手に力が篭る
嫌な予感がして上を見上げる
すると一成は舌舐めづりしていた。


「チェミミミ〜ン」


「お前は『女帝(エンプレス)』か!!?」


一成から飛びのいた


ポヨン


それはかつて愛した乳の感触


「よくも私の秘密を!アーチャー」

「ライダーーさん、何で魔眼殺しの眼鏡取ってるんですか?」

「フーン、私のことそんな風に思ってたんだ、シロウ」

「なんか、まだ衛宮士郎だったころ見たことある、ゲーム本編で何度も見たその表情は・・・」

「先輩、先輩まで私を裏切るんですね」

「桜さん、髪が白くなってるんですけど・・・」

「衛宮君」

「凛、違うぞ!衛宮君は向こうだ!いや、そのとりあえず第2魔法は嫌〜!!」

「シロウ、残念です」

「・・・・・・エクスカリバーとカリバーンの二刀流ですか?」












あの、アインツベルンの城でアーチャーが俺に言った言葉


「衛宮士郎、貴様は間違っている!
貴様の理想は歪んでいる!!」


あれは、ただ巨乳だけを指していたのではなく


「いいか!貴様の理想を極めたこの俺がはっきり言ってやる。
貴様の理想は歪だ!
誰も彼もと幸せになりたい!!
そんな幻想では誰も、誰も救えはしない!」


俺が目指していた理想そのものを指していたんだ・・・・・・

『ハーレムエンド』

そんな結末では救われない
衛宮士郎は、やがて罪に問われ、最後は哀しく絞首刑で死ぬと。








まさか、罪状が重婚罪だとは・・・




遠くで響く自分の理想を極めた男の断末魔を聞いて衛宮士郎は誓った。






「アーチャー。オレは絶対にあんたみたいにはならない」




ハーレムエンドに美綴も加えて見せると!!



「士郎、それでこそ僕の子供だよ!」


親父の声が聞こえたきがした


戯言


なんかアーチャー凄いことになってる

シリアス書きたいなー

時間が無くてシリアス書けない・・・
早く週活終わればいいのに


感想よろしく
いや、一言、お前はバカだ!で良いんで。