ギルガメッシュに空いた黒い孔
その孔に、内側から吸い込まれていく英雄王
いくら、かの最古の叙事詩に謳われた英雄王と雖も、自らの身体に空いた孔から贖う術はない


ギルガメッシュは、引きずり込まれた泥のような闇の中で、必死でもがく

必死の思いでその手に握るは、天の鎖(エルキドゥ)エルキドゥ
それは、唯一自分と同格と認めた、親友の名を冠した宝具
ギルガメッシュにとって、乖離剣エア以上に信頼できる宝具を、最も危機的状況故に無意識のうちに握っていた
夢中で放った鎖は、確かな手応えをギルガメッシュに伝えた。
引きずり込もうとする引力に購うように、鎖を握り光を目指す
孔から這い出てきたギルガメッシュは、所々溶解していた。
あの黒い孔は、サーバントすらも喰らっているらしい
あのバーサーカーですら拘束した鎖、精も根も尽き果てた、今の衛宮士郎にどうこう出来る代物ではない


「くそ、道連れにするつもりか」

「戯け、死ぬつもりなど毛頭ないわ、踏み止まれ下郎、我がそこに戻るまでな」


フラフラの身体を鞭打って、引力に逆らう衛宮士郎
所々溶解され、崩れ落ちていくからだに力を込めて、孔から這い出そうとするギルガメッシュ

双方共に余力はなく、そして元より諦める意志もない




その時、何処からか声がした








『ふん、お前の勝手だが、その前に右に避けろ』







ギルガメッシュはその瞬間を忘れない

振り返る下郎
すれ違うように、荒野となった境内から伸びる一筋の光
その光の軌跡の先、そこに意外な者を見た
フェイカーが、不敵な笑みを浮かべていた

それを、ギルガメッシュは確かに見た
しかし、理解できない、アインツベルンの城で死んだはずの、我が宝具によって串刺しとなったはずの奴が何故そこに居るのか


額に刺さった剣


最後まで我に逆らう二匹の下郎
紛い物しか持たぬ、贋作の製作者ども


何が起こったのか理解できぬままに、額の剣に圧される様にギルガメッシュは孔に堕ちていった






身体を溶かされながら際限なく闇に堕ちていく

肌を溶解し、肉を削ぎ、骨を外していく黒い泥
こうして殻を外され、ギルガメッシュと言う魂だけが深い深い闇に堕ちていく

それでも彼は離さない

あまりにも長い落下の果てに、身体はいつしか昇っていく錯覚

そもそもココには上下の感覚などない
いや、肉体が無いゆえ、すでに感覚そのものがないのかもしれない
混沌とした黒い泥の中で、既に肉体は熔け落ちた
それでも、天の鎖だけは放さない
上昇と墜落を同時に味わう不思議な浮遊感から一転、一定の方向に向かっての力の流動が起こる

それはギルガメッシュの生への渇望か、友を想うエルキドゥの奇跡か

鎖に導かれるかのように、ギルガメッシュは光の下へと流れていった
















頭が『混沌』ギルガメッシュ


「・・・・・・眩しい」

太古より積み上げられた、永劫の泥の闇を掻き分けて辿り着いた光に、ギルガメッシュは目を細めた。
身体には違和感
未だに肉体は自由にならない、
いや、その表現は正確ではない、彼の身体は既に混沌の闇の中で熔け落ちた。
存在しない物が自由になるはずも無く、そもそも感覚とて有りはしない。
漸く光に慣れてきた瞳で世界を観察する


「むむ・・・どういうことだ?」


全ての英雄を統べる王であるギルガメッシュから、困惑の呟きが漏れる

それもそのはず、世界の有りようが彼が知っていた物とは激変している


空の色がピンクで、木々が紫、街行く人間が緑色・・・・・・・・・と言うわけではない。
空は青く澄み渡り、木々は新緑に揺れ、街行く人々も変わらず愚かしい。


そう、何一つ変わらない。
たった一点、眼に映る世界全てが上下逆さまである以外は。



「ようこそ、我が肉体へ」



混乱するギルガメッシュから見て下方から、真理に挑む哲学者のような、鉛のような重々しい声が響く。


「む、無礼な下郎め。貴様、我の下で何をしているか」

「これは異な事を言う。我が半身よ」

全身が見える姿見の前に男が立ち、黒いコートを脱ぎ捨てる。

「な!何だこれは!?」

かつて、神々にすら平然と刃を向けた男が、驚きのあまり声をあげる。
それほど、男の身体は異様だった
それは、もはや身体と言っていいのかすら即座には判断が付けがたい。
コートを脱ぎ捨てた身体は、言うなれば闇そのもの。
闇の塊が人型を取っている、そう評するしかない物体だった。

とはいってもギルガメッシュも、フンババや天の牛と戦ってきた英雄。
怪物など見慣れている、英雄の中の英雄だ
彼が驚いたのはそんなことではない




「何故、我が貴様の股間から顔を出しているのだ!!?」


「我が肉体は閉じた世界なり。ようこそ、混沌の肉体へ」


「そうではなく、何故全ての英雄の頂点に立つ我が、貴様の股間にぶら下がっているか!!?が、問題なのだ」


「なるほど、金ピカが股間から・・・・・・」


「言うな!情けなくなるから、それ以上言うな!!」


さめざめと泣く姿に、既に英雄王の面影は無い
こんなふざけた所に自らを導いた、天の鎖(エルキドゥ)エルキドゥをちょっと恨んだ。
ギルガメッシュはふと生前の記憶を思い出した
奴は今頃腹を抱えて笑っているだろう、そうだ、そういう奴だった・・・。



とりあえず股間から外に出ると、「我が名はネロ・カオス」と、自己紹介する目の前の男を無視して、胸を張り自らの偉大さを称えるギルガメッシュ。
基本的に人の話は聞かない男だ。


「我が名は英雄王ギルガメッシュ、ネロとかいったな。本来貴様のような吸血鬼風情は、近づくことすら出来ぬほどの男である我に―――――イデッ」

途中、いきなり鹿に殴りつけられた

「新入りの癖に生意気でちゅ」

「顔が!我の高貴な顔が、鹿ごときに足蹴にされた!!」

「鹿ごときとはなんでちゅか、鹿ごときとは!僕はただの鹿ではないでちゅ。
しゃべる鹿エト!人気投票でもラスボスの蛇より上位に来たこともある、常連でちゅ」

「まあ、落ち着け。エト、仲良くしなさい。667番目のお友達なんだから」

「この世の叡智を求める、始祖の口から『お友達』とは、また似合わない言葉を・・・って、誰が誰の友達だ!この愚か者!」

「貴様の肉体、我が混沌である創生の土で出来ている。故に我が肉体の一部であると言うこと」

「我に・・・この全ての英雄を統べる我に、吸血鬼風情の風下に立てと言うか・・・」

怒りのあまり、その手には乖離剣エアが握られている。
そこに込められた魔力は、大気すら凍りつかせる程、かの真祖の姫君ですら滅しきれるか定かではない怪物、『混沌』を十度は消滅させてもまだ余りある威力がある

「我が肉体は完成された一つの世界。私は貴様であり、貴様は私。
この身に刻まれた、無秩序な系統樹の分岐の全てが私であり、同時に貴様なのだと知れ」

「獣風情がふざけるな、我は神すらも認めはせぬ。
我が認めるは、親友であるエルキドゥ、我の妻たる(予定)セイバー、そして世界を統べる我自身のみよ」

「今なら時給は700円」

それは、絶対の真理を告げるかのような荘厳な声か

「さらに、入会キャンペーンとして、お得なガクガク動物ランド、ペア割引チケットも付けよう」

はたまた、智を極めんとする哲学者の苦悶の声か

「我はマックでバイトする高校生か!?」

「フム、なるほど不服であったか」

「当たり前だ!!」

「なるほど、ならば大サービスだ、交通費も往復500円まで出そうではないか」

「安!!」

「ふふふ、これは本来切番の時のみのサービスなのだよ」

「切番て、ホームページかよ!?」

「サイト名は混沌さんいらっしゃいだ」

「ださ!!って言うかパクリかよ!?」

「では、入会を歓迎しよう、ギルっちよ」

「・・・ギルっちって何だよ?」

ネロの混沌と言う異名は伊達ではなかった。
そのつかみ所のないトークに宝具と同じく、無限のつっこみを持つ、ギルガメッシュもタジタジだ

「我が肉体のお友達は、皆、あだ名で呼び合う、それがこの無秩序なる『混沌』の、唯一つの秩序(ルール)ルールだ」

「そんなルールは捨ててしまえ」

「恥ずかしがることはない、ギルルンよ」

「誰がギルルンだ!!?」

「む、気にいらなかったか。では何が良いのだ?」

「ふむ、やはり英雄王に相応しくギル様であろうか
―――――って、だから我は仲間になる気はないって言って居るだろうが!!」

苦悩を刻み付けたような表情のネロ・カオスは、呆れたように溜息をついた。

「我侭だな、では仕方がない、特別に3食昼寝付だ」

「・・・3食だと?」

「そうだ、それで不服なら、特別にデザートにプリン・アラモードを・・・」

「うぎゃー!!ヤメロ、やめてくれ!!もう、もう、口が痛い。
我は、我は王だぞ!!王にそのような、地獄のマグマのような物を食わすでない」

ガクガク震えながら、滝のような脂汗を流して脅えるギルガメッシュは、ネロの話を聞いていなかった。





〜〜〜〜〜第4回聖杯戦争時〜〜〜〜〜

「アーチャーよ、食事だ」

「・・・・・・また、この毒のような赤い物体か」

昼に一口食べただけにも拘らず、未だに唇は腫れ、咽喉は焼ける様に痛かった

「毒、だと・・・?」

こめかみをピクピク痙攣させながら、令呪をかざす

「ふざけ・・・言峰、貴様、令呪をそのようなことに使う気か?」

「命じる・・・これより聖杯戦争終結に至るまで、3食全てマーボーを完食し、皿まで嘗め尽くせ」

「ああ!食いたくないのに手が勝手にレンゲを〜〜〜」





対峙する騎士王に微笑みかけるギルガメッシュ

「我と供に来い、騎士王よ」

紅い瞳と碧眼が絡み合う

「あははははははははっははっはは」

戦場に響く、騎士王の爆笑

「なんです、そのたらこ唇は!?」

・・・・・・屈辱の記憶
3食の大盛りマーボーのせいで、ギルガメッシュの唇はいかり○顔負けのたらこ唇になっていたのだった。


〜〜〜〜〜回想終了〜〜〜〜〜



「大丈夫か?」

「・・・辛い過去だった」

「何やら勘違いしているようだが、3食全てマーボーなど、私は食す気はさらさらないが」

「しかし、言峰はこの国ではマーボーこそが至高の食事だと言っていたが・・・」

「それは嘘だ」

あっさりと断言するネロ
その言葉に天地がひっくり返るほどのショックを受ける
というか、実は単純で良い奴のギルガメッシュは騙されやすいのだ。
そもそも、親友のエルキドゥ自身、ギルを倒すために作られたのに、いつの間にか親友になってるし。

「至高の食べ物とはな・・・プリン・アラモードだ」

「・・・・・・は?」

一瞬、ほんの一瞬だけだが、この苦悩以外の表情を知らぬ男が、輝くような笑顔を見せた気がした。

「だから、至高にして究極の食べ物はプリン・アラモードだ」

繰り返される言葉、ギルガメッシュは呆けたように口を開けて立ち尽くす
それも当然、彼は10年前に現界して以来、マーボー以外の食物を口にしたことはないのだから。

「それは、どんな食べ物なのだ」

プリン・・・魅惑の単語にギルガメッシュは胸をときめかせた

「ふむ、味わいは甘く優しい、口解けは滑らかな絹のよう、そして私を誘うように愛らしく揺れる姿といったら、もう・・・」

何と言うことだ、あの666の獣の王たる男が恍惚の表情をしている。

「ふむ、食してみたいかね?」

「なに?」

「だから、食してみたいか?と聞いているのだ、最古の英雄よ」

ゴクリ・・・と咽喉を鳴らす
食べてみたい、正直に言えばあのネロ・カオスを恍惚させるほどのものを食べてみたいに決まっている。
しかし、彼にもプライドがあった。
まさか、食べ物に釣られて仲間になるのはあまりにも情けない

『我は、どうすればいいのだ、セイバーよ』



〜〜〜〜冬木〜〜〜〜〜

「だから、セイバー。あれだけ、知らないおじさんに着いて行っちゃダメだって言っただろ!!」

「しかし、士郎。彼は私に「お菓子を一杯あげるから着いておいで」と、言ったのです」

「アホか!!典型的な誘拐じゃないか!!」

「しかし、切継もよく「据え膳食わぬは男の恥」と・・・」

「バカ親父ィィィィィィィィィ!!!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「取り合えずプリン・アラモードなる物を食わせてくれ、それから考える」

マーボーの時のように騙されていることもある、馬鹿は馬鹿なりに学習したようだ。

「誰が馬鹿だ!!」

「よかろう、ならば我がプリン・アラモード、心して喰らうが良い」






「着いてくるがいい」と言うネロと供に、10分も歩くと坂を上りきった所にある巨大な屋敷に辿り着いた。
ネロは、中々に立派な門を断りもなく開き、広い庭を横切り玄関ホールに入る。

「――――――――――!!」

絶叫と、バリン、という渇いた音。
振り向いたギルがメッシュの面前に迫り来る・・・椅子

ゴシャ!!と言う音が響きギルガメッシュは、床を転がりながら声もなく悶絶している。

「出て行きなさい!この泥棒ネコ!!」

「ブーブー、妹のケチ」

「誰が妹ですか!!」

「志貴が私と結婚したら妹になるんでしょう?」

「兄さんが人外吸血鬼なんかと結婚するわけないでしょう!」

「良いから二人とも落ち着け!!」

「志貴」

「兄さん」

「なんで二人とも仲良く出来ないんだ?」



「秋葉、取り込み中にすまないが・・・」

「あら、いらっしゃいませ、涅呂叔父さま」

「な!貴様はネロ・カオス!?」

「あんたなんで生きてるのよ!?」

「久しいな、人間に姫君よ、そんな事より、そろそろ退いてやってくれないか?」

「「「え?」」」

リビングマットのように散々踏まれボロ雑巾のようになったギルガメッシュ
哀れなことに、3人の足の下でビクンビクンと痙攣しながら泡を吹いてる哀れっぷり


先程投げられた椅子、破壊されたテーブルなどを直して紅茶を片手に向かい合う。

「それで涅呂叔父さま、本日はどういった御用ですか?」

「それはだな、この物にプリンを食わせてやろうと思ってな」

「まあ、叔父さま、また新しいペットを飼い始めたんですか?」

「誰がペットだ!!」

「秋葉、ペットではない。これは私の新しいお友達、ギルルンだ」

「その呼び名はやめい!!」

「よろしくね、ギルルン」

「無視かよ!?」

「おいネロ・カオス、どう言う事だ?」

状況が理解できない、志貴とがネロ・カオスに詰め寄る

「詳しくはきのこ迷作劇場参照だ」

ネロ・カオスが言うことは志貴にはワカラナイ

「兄さん、この方は涅呂叔父さまと言いまして、とっても動物好きの方なんですよ」

「いや、動物好きと言うか、こいつが獣そのものだろ」

「九我峰なんかより余程好ましい親戚筋ですわ」

「始祖より嫌われてるのか?九我峰は・・・」

「・・・どうした、アルクエイド」

先程からアルクエイドは一言も喋らずに、ネロが連れてきた金髪の男を睨み続けていた。

「気をつけて志貴、あの男・・・人間じゃない」

首を傾げる志貴、だがアルクェイドがネロよりも金髪の男を注意しているのがわかる

「アンタ、人間じゃないわね・・・。英霊が何でこんな所をうろうろしているの?」

「フン、それは我の台詞だろう、真祖の姫君よ、貴様いつから人に塗れた」

「アルクェイド、英霊って何だ?」

「言うなれば、人でありながら人を凌駕した過去の偉人や神話に謳われる英雄よ」

「神話の英雄・・・?ヘラクレスやスサノオみたいな?」

「そう、その中でも奴は格段に強い、正体はわからないけどね。
魔法使いと同じくらい、出来れば戦いたくはない相手ね」

アルクェイドがそこまで言う相手・・・、志貴は息を呑んだ

「ヘラクレスか、奴ならば丁度数日前串刺しにしてやった所だが・・・」

「な!?」

その言葉に志貴は絶句した
ヘラクレスって言ったら俺でも知っている英雄中の英雄、それを何でもない様に言い放つ、この男・・・

「教えてやろう、ガイアの抑止力よ!我の名は・・・」

「ギルルンだ」

「そう、英雄王ギルルン・・・って、そのあだ名はヤメロ!」

「ギルルンさん、プリンです、紅茶のお替りもどうぞ召し上がれ」

「うおー!だから、ギルルンて呼ぶなぁぁぁ!!」



「・・・おい、アルクェイド、こいつ馬鹿なんじゃないか?」

「霊長の抑止力がこんな奴だったなんて・・・」



頭を抑える二人を尻目に、ギルガメッシュは、初めて食べるマーボー以外の食物に舌鼓を打っていた。

「美味い、何と言っても辛くないのが良い」

今までの食生活を振り返り、不覚にも涙を流すギルガメッシュ

「おかわりだ!」

「申し訳有りません、それがもうそれしかなくて・・・」

申し訳なさそうな琥珀の声に、この世の終わりのような顔で肩を落とすギルガメッシュ
それでは、子供と変わらないぞ!英雄王

「むむ」

ギルガメッシュがアルクェイドをじっと見ている

「何よ、ヤル気?」

敵意を剥き出しにするアルクェイドには目もくれず、ギルガメッシュはアルクェイドの一点を見つめる

「・・・有るではないか」

「は?」

「姫君よ、二個も独り占めはずるいぞ、我にも一個プリンを分けろ」

プルン、と揺れるそれに、ギルガメッシュの指が触れる



プヨン



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



アルクェイドの豊かな胸に、ギルガメッシュの指が埋まっている



一瞬、時が止まった
いや、時間が死んだのかもしれない
いつのまにか眼鏡を外した志貴の蒼い瞳が、ギルガメッシュを捉える。



「テメェェェェェェェェ!!俺だけのおっぱいに!」

怒りのあまり志貴が切れ、七夜化・・・いや、殺人貴化している

予想外の感触に呆然とするギルガメッシュの死を突こうと踊りかかる。



しかし、志貴の身体は中空で静止していた



絡みつく赤髪
目の前には真っ赤な妹の姿


「兄さん、『俺だけのおっぱい』とは、どういうことか、納得のいく説明をしていただけますよね?」


遠野志貴、ギルよりも先に死亡フラグ確定





そう思われた矢先、ギルの


「姫君、貴様、胸が腫れているな、怪我でもしているのか?」


そんな一言で救われた。

あまつさえ、「怪我しているとは知らなかったのだ、すまない、許せ」なんていう、傲慢ながらも、詫びの言葉すら飛び出した。


「・・・・・・・・・・・・・・・は?」


驚きのあまり秋葉も紅赤朱から戻っている。


「私、怪我なんてしていないけど・・・」

「何を言っている、そんなに腫れているではないか」

真剣な顔でアルクェイドの胸を指差す

「お前、女の胸を見たのは初めてか?」

「セイバーにはそんな物付いていなかったぞ」








バリン!!

「どうした、セイバー、突然、茶碗を握り潰すなんて」

「いえ、何だか無性にギルガメッシュに腹が立っただけです」

「なんでさ?」






「今までセイバー以外の女など、興味も無かったから良くわからんが、そこの女にも付いていないではないか」

秋葉を指差す

「だから、真祖が胸元にプリンを隠していると思ったのだ、ゆる―――――ブルァ!!」

「秋葉!落ち着け、ヤメロ!!」

「このやろ!!ナイチチの何処が悪い!!私だって好きで無いんじゃないんだから!!」

「落ち着け、秋葉」

「そうよ、有ると有るで却って肩とか凝って大変なのよ」

重そうに揺するアルクェイド

「ぶっ殺す!!!!!」









「ふむ、邪魔したな」



何事も無かったかのように遠野家を後にするネロ・カオス

ネロ・カオスは思った
やはり、あだ名はギル坊の方が良いだろうかと・・・

「最も、無事に帰ってこれたらの話だが」



そして、残されたのは―――――
真っ赤な髪と、真っ赤な涙を流しながらギルガメッシュに蹴りを入れ続ける秋葉と、半壊した遠野邸だった




魔術師の戯言


・・・結局何が書きたかったんでしょうか?
いや、ギル様とネロ・カオスが書きたかっただけなんです
ですから個人的には幸せですよ
一杯ギル様とネロ・カオスの絡みがかけましたから
所々壊れてたり喋り方変だったりするのはギャグゆえの仕様です
いや、ホントだって。
感想いただけるとうれしいなぁ、と思う今日この頃
そろそろシリアスが書きたいと毎回後書きのたびに行ってますねぇ(苦笑


ちなみに、タイトルが良くないと指摘されました
どうせ、センスないよ
ついでに漢字間違いも修正しますた