はじめに

　年代が合わないかもしれませんがご容赦下さい

　あと、恭也が強すぎるという御指摘は却下しますｗ

　独自設定何でも来い！！　という方だけお進みください

















　　『武道家として』













　私は驚愕していた

　今、目の前で起こっている事が信じられない

　小さな体で舞う様に立ち回る少年に、視線が釘付けになった

　中学生くらいの男の子に、大人が３人がかりで相手をしている

　しかも、その３人を翻弄しているのだ

　驚くなと言う方が無理だった

　呆然としている私の横に、何時の間にか此処――明心館――の館長である、巻島十蔵が立っていた



「どうした？　護身道の姉ちゃんよ」

「あ、館長さん。いえ、ちょっと信じられない光景が･･････」

「ああ、コレか。なに、いつもの事だ気にするな」



　ガッハッハと豪快に笑い飛ばす館長さんに、はあ、と曖昧に返すしか出来なかった



「にしても、ウチの連中は情けねぇな。まだ中坊にもなってないガキにいいように翻弄されやがって！！」

「は？　あの子小学生なんですか？」

「おおよ。末恐ろしいガキだろう」



情けないと言いつつも、どこか嬉しそうな館長さん

　私には情けないどころかかなり強そうに見えるのだけど･･････



「あの･･････あの３人はどれぐらいの強さなんですか？」

「あん？　確か３段と４段の連中だったと思ったが･･････まあウチで中堅位の位置にいる連中よ」



　さ、３段と４段？！　

　１対１×３だったらまだ何とかなると思うけど、１対３だったら私じゃまず勝てない

　開いた口が塞がらない私を、面白そうに館長さんが見ている



「何者なんですか？　あの子」

「俺のダチの息子だ」

「流派は？」

「わりぃがそれは言えねぇ」



　言えない？　何故かしら。気になるけど館長さんが教えてくれるとも思えないし･･････

　あれこれ思案していると、館長さんが笑いながら声をかけてきた



「なんなら手合わせしてみるか？　あのガキと」

「え？　で、でも、勝てる気がしないんですけど･･････」

「なんだなんだ？　始める前からもう負けてんのか？　ウチに来始めた頃の嬢ちゃんは何処行ったよ」

「？！」

「大体負けるのが嫌なら武道なんかやってんじゃねぇよ。とっとと辞めて普通の高校生に戻るんだな。秒殺の女王さんよ」



　じゃあな。と、言って背を向ける館長

　流石の私もカチンときて、考えるより先に言葉が出た



「解りました。やります。その代り怪我させても知りませんよ」



　私の言葉にニヤリと笑う館長

　･･････もしかして私、嵌められた？



「よっし、じゃあ準備して来い。その間に俺が話つけといてやるからよ」



　館長は頷く私を満足そうに見て、少年の許へ歩いていった

　私はチラッと少年を見遣り、更衣室へと向かった





　　　◇　　◇　　◇





　着替え終えて道場に足を踏み入れると、中央で少年と館長が何か話していた

　駆け足で二人の許へ急ぐ

　

「遅くなりました」

「ん。じゃあ始めるぞ。ルールは顔面無し、急所無し、他は何でも有りだ」



　護身道のルールとはちょっと違うけど、私に不利というものでもない

　私は少年の目を見据えながら頷く



「あと、一応ハンデとして嬢ちゃんは棍ありで、恭也は無しだ」



　その言葉に驚いた私は館長を見て、少年、恭也君を見る

　すると恭也君は、疲れたように溜め息を吐いた

　さらに追い討ちをかけるように、館長が笑いながら言う

　

「ああ、恭也。さっき言ったように、お前が負けたらウチの中堅以上の奴等と１００人組み手だからな」

「･･････了解」



　２人の遣り取りに自然と目と手に力が籠る

　なめられてる。そう感じたから



「これより、高町恭也対千堂瞳の試合を始める。･･････始め！！」　



　開始の合図と共に、右半身を前に構える

　一方の恭也君は、特に構えようともせず、少し足を開いただけだった

　だというのに隙が全然無い

　いや、あるのかもしれないが私には見つけられない

　数秒の睨み合いが続いたが、徐に恭也君が２、３度トントンと軽く跳ねる



「･･････いきます」



　着地と同時に駆け出してきた

　くっ？！　いくらスプリットステップを使ったからって、なんて踏み込みしてるのよ？！　

　気付いた時には、恭也君は既に私（棍）の間合いに入っていた

　恭也君の足を止めるべく、棍を右から薙ぎ払う　

　しゃがんで避けるか、立ち止まってやり過ごすかしかない

　その隙に間合いを取って仕切り直すつもりだ

　だが、恭也君は大きく左足で踏み込み、左半身で少し体勢を低くして待ち構えた　

　しゃがんで避けるには姿勢が高すぎる

　まさか･･･棍を素手で受け止める気？！　無茶な！！　止めなきゃ！！！！

　だけど勢いのついた私の右腕は止まる事を知らず、そのまま恭也君に吸い込まれるように向かっていった

　恭也君は顔色一つ変えず、迫り来る棍を見ている

　ぶつかる。そう思った瞬間、私の右腕は下からの衝撃により、軌道を変えて恭也君の頭の上を通り抜けていった

　ホッとしたのも束の間、直に私は後悔した

　恭也君が私の懐に入り、右肩を震わせていたから

　マズイ！！　そう思うより先に体が反応して、後ろに跳んでいた

　が、恭也君がそれを見過ごす筈もなく、きっちり間合いを詰めながら掌打を放つ


　ドン！！


　けほっけほっ―――った〜。これが小学生が放つ拳打？　いくらなんでも反則よ

　一瞬呼吸が止まっちゃったじゃない

　何をしたらこんな拳打が打てる様になるのよ

　って、そんな事考えてる場合じゃないわね。恭也君は―――え？


　ブン！！　ズダン！！



「一本！！　それまで」



　あれ？　なんで私床で寝てるの？　一本？　え？　えっ？

　何が起こったのか判らず、そのままの体勢でボーっとなる　



「ま、こんなもんか。大丈夫か？　嬢ちゃん」

「は？　あ、はい」



　館長さんに手を差し伸べられ、その手を取って立ち上がる

　立ち上がった後も、訳がわからず、しきりに首を傾げてしまう



「どうやら何が起こったか判ってねぇみてぇだな。嬢ちゃんは掌打を喰らった後投げられたんだよ。諸手背負いでな」



　ま、きっちり受身は取っていたがな。と、恭也君の頭を撫でる―――というより揺すりながら言う館長

　思わず恭也君の顔を凝視してしまう

　恭也君は迷惑そうな顔で撫でられ続けていた

　やがて思い出したように恭也君が口を開いた



「館長。そろそろ時間なんで僕はこれで」

「おぅ。今日はすまなかったな恭也」
　
「いえ別に。それでは」



　私にペコリとお辞儀して、恭也君は出て行った

　恭也君の背を見詰めていると、不意に涙が出てきた

　悔しい。何も出来なかった。これほど悔しい想いをした事は今まで無かった

　世間では秒殺の女王と呼ばれ、天狗になっていた私の鼻を、見事に圧し折られ･･･た･･････？！

　自分の考えにハッとなり、館長さんを見る　

　館長さんはニヤリと笑い、着替え終わったら館長室に来い。と言って出て行った





　　　◇　　◇　　◇





　コンコンッ


「失礼します」



　着替え終わった私は、言われた通りに館長室を訪れた

　

「来たか」

「はい。あの･･････ありがとうございました」

「どうやら自分で気付いたみてぇだな」

「はい。今日の試合･･････あれは天狗になった私に、上には上がいることを教える為･･････ですよね？」

「まぁ、お節介かと思ったんだがな。折角良い素質持ってるのに、今の自分に満足なんかしてやがるからな

　同じ武道家として、ちっと喝でも入れてやるかってな」



　柄じゃねぇがな。と言って豪快に笑う館長

　私にそこまで気を使ってくれる事が、素直に嬉しかった



「また、一から始めようと思います」

「そうか。なら俺が一肌脱いだ価値はあったか」

「はい。今度は恭也君から一本取るのを目標にします」



　私の言葉に、館長は正しく『鳩に豆鉄砲』な顔をすると、今まで見たこと無い位笑い出した



「が〜っはっはっは。そうかそうか。恭也も大変な奴に目をつけられたな」

「ふふふ、館長さんが引き合わせてくれたんじゃないですか」



　明心館の館長室に場違いな笑い声が木霊した

　この後、瞳は前以上に護身道に取り組むようになる　

　瞳は恭也から一本とる事が出来たのか？

　それは皆様のご想像にお任せします　

　ただ一つだけ言える事は、瞳は無敗のまま引退したらしいという事です







　あとがきんぐ〜〜〜〜！！！！！
　
　いよっしゃーー！！　間に合ったーーーー！！！

　ギン「え〜そんな訳で応援ＳＳ第２弾ッス」

　タイトルが変なのは、良いのが思いつかなかったのです（滝汗

　が、それは横に置いといて、これで瞳様がトップ３に！！

　ギン「なると良いッスね」

　頑張るぞーーーー！！！

　ギン「それではまた何処かでお会いできる事を願うッス」

魔術師の戯言

そっかー、瞳様明心館にも道場破りしてたんだ
むしろ、恭也の強さとかじゃなくてそっちに驚いたよ、私は。
秒殺の女王誕生秘話にはそんな秘密があったのか。
なにはともあれ、今回はリンクミスとかしないようんしないとなぁ(苦笑

さてさて、瞳様ファンの皆さんは勿論、巻島十蔵ファンの皆さんも(居るのか？）ファンレターを出しましょう

あと、数時間後(今22:30）に人気投票の結果が出るんですねー、ドキドキワクワク

拍手で感想を出す人は『翠屋さん』と書いてください