はじめに

恭也と瞳は付き合ってます(3ヶ月ぐらい)

恭也は大学2年生で瞳は護身道のコーチの仕事に就いてます

耕介は愛と結婚してます

以上のような設定が嫌いな方はブラウザの戻るボタンへGO!

それでも構わんという方はそのままお進み下さい

 

 

 

 

 

 

 

本当の優しさ

 

 

 

 

 

 

 

[瞳の自室]

 

「・・・どうしよう・・・このままじゃ恭也に迷惑が掛かっちゃう・・・でも・・・・」

 

瞳は一人悩んでいた

その手にはなにやら体温計のようなものが握られていた

 

「・・・やっぱり・・・・・・誰かに相談しよう・・・」

 

瞳は嬉しさ不安の入り混じった顔で部屋を出て行った

 

 

 

 

 

[さざなみ寮・リビング]

 

瞳が相談相手に選んだのは彼女の幼馴染にしてさざなみ寮の管理人を勤める槇原耕介だった

急な訪問に、吃驚しつつも暗い顔の瞳に何かあったと確信した耕介は、リビングへ案内した

 

「ごめんね、耕ちゃん。いきなり来て・・・・・」

「いや、別に来るのは構わないんだが・・・・相談ごとか?」

「うん・・・・・・」

「そうか、一寸待ってろ」

 

呟くように答え、俯いてしまった瞳に紅茶を入れながらその顔をじっと見詰める

(こりゃあよっぽどの事だな。瞳が暗い顔になる・・・という事は恭也君関係か?また喧嘩でもしたのかな)

何度も相談を持ちかけられている耕介は、

俯いたまま喋らない瞳が何を相談しに来たのかを考えていた

 

「ほいよっ、お待ちどうさん。・・・・・・・で、何があった?

おまえがそんな顔してるって事は恭也君のことなんだろ?」

 

耕介の言葉に体をビクッとさせながら苦笑いを浮かべる

 

「やっぱり耕ちゃんには隠し事が出来ないね・・・」

「まあな。伊達にさざなみ寮の管理人をしている訳じゃないってことさ」

 

それに一応幼馴染だしな。と、頬を掻き、笑いながら言った

そんな耕介を見て緊張感が薄れたのかポツリポツリと話し出した

 

「実はね・・・・その・・・・・・出来ちゃったの・・・・」

「は???」

 

声が小さかったからか、はたまた瞳が言ったことが信じられないのか素っ頓狂な声を上げる耕介

その様子を見て真っ赤になりながらももう一度話す

 

「だから・・・出来ちゃったの!!」

「???だから何が?」

 

いったい何のことやらさっぱり解らない耕介に厭きれるやら愛さんに同情するやら・・・・

大きな溜め息を吐き、『いまさらよね』と呟いて答えた

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・赤ちゃん」

「イマナントオッシャイマシタカヒトミサン」

 

予想以上の答えに思わず喋りがカタカナになる耕介

 

「恭也の!赤ちゃんが!私のお腹に!いるっていったの!!」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

絶句する耕介

叫んでしまったからか、一層真っ赤になる瞳

 

「まさか・・・・・・あの時のか?」

「・・・・・・多分・・・・あれ以降は・・・その・・・・・ちゃんとしてたし・・・・」

 

二人に心当たりがあるらしく、両者の間に微妙な空気が広がる

耕介は申し訳ない気持ちで一杯になる

何故耕介が申し訳ない気持ちになるのか・・・

事の発端が耕介が真雪にうっかり恭也と瞳が付き合いだした事を喋ってしまったからである

絶好のからかい相手と宴会の口実を真雪が逃がす筈も無く

約3ヶ月前に『恭也&瞳 交際開始おめでとう記念』という名の宴会が行われた

案の定真雪は恭也と瞳を質問攻めにし、酔い潰したのである

酔い潰れた状態で二人を帰す訳にはいかなくなった耕介は、恭也と瞳に自分の部屋を貸したのだった

そして翌日、二人を起こしに入った時、二人は生まれたままの姿で抱き合ったまま眠っていた

 

「・・・・・すまん」

「耕ちゃんの所為じゃないって・・・・」

「だが!!」

「それに私は嬉しいんだから」

 

そういって本当に幸せそうに笑う瞳

流石にそんな顔を見てしまってはこれ以上謝るわけにもいかず、耕介も黙ってしまう

 

「ただ・・・・」

「恭也君のこと・・・だろ?」

 

不安な表情をしながらうなずく瞳

そう、恭也はまだ学生なのだ

もし赤ちゃんが出来たことを話したら、恭也は大学を辞め働こうとしてくれるだろう

自分が仕事をしながら育てるから・・・そう説得してもおそらく聞き入れてはくれない

瞳にはそれが耐えられなかった

自分の所為で恭也の未来を閉ざしてしまうのが・・・・・

考え込んでいる瞳に耕介の声が掛かる

 

「なぁ瞳・・・おまえの考えてることは解るが、もう少し恭也君のことを信じてみても良いんじゃないか?」

「えっ!?」

 

信じる?何を馬鹿なことを・・・私は恭也の事を心から信じているつもりだ

そう言おうとした時、耕介から続きの言葉が紡がれる

 

「確かに恭也君は本当の優しさを持っている、

だから大学を辞めてでもおまえと、おまえ達の子供を背負い守ろうとするだろう。

でもな、恭也君はおまえの考えを蔑ろにするような奴か?」

 

ドキッ!?

そうだ

恭也はいつだって私のことを考えてくれていた

周りに鈍感だ、朴念仁だといわれても、私の為に自分の出来ることを精一杯してくれてたじゃない

慣れないことでも一生懸命してくれてたじゃない

そんな恭也が私の考えを無視するような人じゃないって事ぐらい、私が一番解っていた筈なのに・・・

心から信じているとか言いながら、全然信じてあげてないじゃない

バカだな・・・・私って

 

「違うだろ?だったら恭也君に正直に話して、今後のことは二人で相談して決めたらいい」

「うん!ありがと耕ちゃん!!」

「気にすんなって。じゃ頑張れよ」

 

来た時の暗い表情とは打って変わって、明るい表情で出て行った

そんな瞳を見送りつつ耕介が

 

「おまえも・・・・・・本当の優しさを持っているんだからな・・・・・ガンバレよ瞳・・・・

しかし子供かぁ・・・・・・いいなぁ。リスティはお父さんって呼んでくれないしなぁ・・・・

・・・・俺も愛さんと頑張るか・・・・・・」

 

と呟いていた

何を頑張るかは大人の事情だ

ちなみに次の日の愛は腰が立たなかったことを追記しておく

 

 

 

 

 

[高町家]

 

「ごめんくださ〜い」

 

瞳は早速恭也と相談しようと高町家に来ていた

 

「は〜い、どなたですか〜?」

 

出てきたのは恭也の妹の美由希だった

恭也じゃなかったことに多少がっかりしつつ答えた

 

「こんにちは、美由希ちゃん」

「あ!?瞳さん♪ちょうど瞳さんの噂してたんですよ♪」

「え!?私の噂?」

「あっと、とりあえず上がってください♪リビングにみんな居ますから♪」

「恭也も?」

 

リビングに向かいながら目的の人物も居るのか聞いてみた

 

「恭ちゃんは井関さんの所に研ぎに行ってます」

「そう・・・・・・」

 

何だか肩透かしを食らった様な感じで肩を落とす

そんな瞳を心配そうに見詰める美由希

 

「あの・・・・・何かあったんですか?」

「ん・・・・何でもないのよ」

「そうですか?なにか複雑な表情をしていますけど・・・・」

 

何かを隠していることを美由希は見抜いていた

『それ』が何なのかまでは解らなかったようだが、

問質そうとしている内にリビングについてしまった

 

「こんにちは〜」

「「「「「いらっしゃ〜い」」」」」

 

リビングに居たのは

高町家の大黒柱で最強料理人・食禁倶の使い手、高町桃子

高町家居候その一・無敵の最下位、城島晶

高町家居候その二・中国の神秘・不老の鳳蓮飛(ふぉう・れんふぇい)

高町家の常識最後の砦・魔法少女、高町なのは

みんなのお姉さん役・光の触角、フィアッセ・クリステラ

そして、先ほど迎え入れてくれた

中途半端な眼鏡っ子・最凶料理人、高町美由希

の姿があった

 

「何か俺とフィアッセさんだけ酷いと思うんだが・・・・」

「触角って・・・・」

「まぁまぁ、あんまり怒っちゃだめよ♪晶ちゃん、フィアッセ」

「不老ってど〜ゆ〜意味や?」

「成長しねぇってことだろ」

「なんやと!このおサル」

「やんのか!このちびガメ」

「「・・・・・・・・」」

「最近飛ばしてなかったからな〜!新記録の7mにチャレンジしたるわ〜!!!」

「目上に対する口の聞き方ってものを、その体に叩き込んでやら〜!!」

「や〜〜〜め〜〜〜な〜〜〜さ〜〜〜い!!!!!」

「「あうっ!?」」

「なんでこ〜いっつもいっつも喧嘩ばかりするんですか!!」

「せやけどこのおサルが・・・・」

「だってこのちびガメが・・・・」

「言い訳はいいです!!そこに座ってください!!!」

「「はい」」

 

美由希はなのはをどうにかして宥め様とオロオロしている

フィアッセは飲み物を用意しているようだ

なのはに説教を食らっている二人をいつもの事と無視して桃子が語りかけてくる

 

「あらためて・・・いらっしゃい瞳ちゃん♪」

「お邪魔しますね、桃子さん」

「ん〜〜〜、ねぇ瞳ちゃん」

「なんです?」

「いつになったらお義母さんって呼んでくれるの?」

「そうですね・・・・・・近いうちにそうなればいいなって思いますけど・・・・・

恭也の気持ちもありますから・・・・・・」

「ほんとに!?・・・・ああ・・・士郎さん、美由希かなのはの方が先だったらどうしようと思ってましたが

漸く・・・・漸くあの子の子供が抱けます。私達の孫が・・・・・」

 

祈るような格好で天井を見る桃子

結婚を通り越して出産までいっている桃子の言葉に苦笑いをするフィアッセ

 

「も〜も〜こ〜、いきなり孫の話なんかするから瞳が吃驚してるよ〜」

「あははは♪ゴメンゴメン♪冗談よ冗談」

 

目を見張り、体が固まっている瞳を見て吃驚したと思ったのだ

たしかに吃驚はしているだろう

普通の人は吃驚するか呆れるだろう言葉だったから

しかし、瞳にとって先ほどの言葉は気が気じゃなかった・・・

自分と恭也の間にはもう子供が居るのだ

桃子の言うような冗談ではなく本当に

恭也がまだ学生だというのに・・・・・・

また暗い考えになろうとしている時にお目当ての人が帰ってきた

 

「瞳・・・・来てたのか」

「お帰り・・・恭也」

「ああ・・・・・・どうかしたのか?顔色が一寸悪いぞ?」

 

桃子たちですら気付かなかった顔色の変化に逸早く気付いてくれた恭也

それがとても嬉しかった

『いつも見ていてくれている』

そう思うことが出来たから・・・・

 

「大丈夫よ、それよりも相談したいことがあるんだけど・・・・」

「相談?別に構わんが?」

「ここじゃちょっと・・・・・・・」

「ふむ、解った。俺の部屋に行こう」

「うん。ゴメンね」

「気にするな・・・・・そうそう高町母よ、みんなに聞かせたくないから部屋に行くのだ。

したがって盗み聞きをしよう等と不埒なことは許さんからな!!」

 

かなり真面目モードで脅す恭也に、周りの人達は凄い勢いで頷いていた

周囲の反応に満足したのか踵を返し、部屋に向かった

 

 

 

 

 

[恭也の部屋]

 

座布団を用意してくれた恭也に微笑みながら語りかけた

 

「ありがと・・・・・それで相談したいことなんだけど・・・・・」

 

そういって不安そうな表情で俯く

 

「その・・・・・だから・・・・えっと・・・・」

「落ち着け。いつもの瞳らしくないな・・・・そんな状態では瞳の良いところが失われてしまうぞ?

・・・・・・やっぱり体調が悪いのか?」

「いつもの・・・・私?」

「ああ、自分の意見はハッキリ言うのがいつもの瞳だろう?

そしてそれが瞳の良いところだと俺は思う」

「フフ♪そうね。こんなのいつもの私らしくないわよね」

 

そういって天井を見上げ、深呼吸をする

顔を下ろしたときには決意したような表情になっていた

 

「あのね、私のお腹の中に・・・・・・あなたの赤ちゃんが居るの・・・」

「なっ!?」

「最近生理も来なかったし、おかしいって思って妊娠検査機を使ってみたら・・・反応があったわ」

「・・・・・・・・・・・・」

「一応病院にも行って調べてもらったわ。もしかしたら検査機が壊れているかもしれないしね」

「・・・・・・・・・・・・」

「お医者さんにおめでとうございますって言われて・・・3ヶ月ですって言われて・・・凄く・・・嬉しかった・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・私はあなたの子供を生みたい!!たとえ周りの人達全てに反対されたとしても!!!」

 

涙を一杯に浮かべながら恭也を見詰めた

恭也は硬く閉じていた目をゆっくり開き、微笑を浮かべていた

 

「そうか、なら俺は瞳を全てから守ろう!!どんなことがあっても!!!」

「・・・・恭・・・・也・・・・・・」

 

かろうじて名前を呼ぶことが出来た

恭也の胸の中で泣き続ける瞳

恭也はただ優しく瞳の頭を撫で続けるのだった

 

 

 

「ありがと♪恭也(はぁと)」

「いや・・・・・いずれは起こる事だ。それが早いか遅いか、それだけだ」

「うん♪でも結婚の方が後になっちゃったね」

「・・・・・婚姻届を出すだけなら直ぐにでも出来るさ」

「それってプロポーズ?」

「・・・そうとって貰って構わない」

 

真っ赤な顔でプイッと横を向く恭也を幸せそうに見詰める瞳の姿があった

 

 

 

 

 

「ね、恭也♪」

 

 

 

 

 

二人の間にはまだまだ越えなくてはならない壁がある

 

 

 

 

 

「なんだ?」

 

 

 

 

 

しかしこの二人なら乗り越えられるだろう

 

 

 

 

 

「・・・・浮気したら、殺すからね♪」

 

 

 

 

 

不器用だけど・・・・本当の優しさを持っているから

 

 

 

 

おわり

 

 

 

あとがきだよ〜

応援SS第二弾!!

ギン「何故に第二弾なんスか?」

瞳様が危ないから!!!1〜4位が激戦なのだ!!!瞳様親衛隊局長としてはなんとかせねば!!!

ギン「でもどっかで見たことあるような奴ッスね」

このSSは白夜の管理人ケイジさんの誕生日記念SSとして作成したものだから♪

ギン「一応ケイジさんに了解は取ったッスけど・・・また使いまわし?」

グサッ!!

・・・・なのでこのSSを読んでくださった方々、白夜のサイトにも入って頂けると嬉しいです

ギン「無視ッスか?まぁいいッス。アドレスはhttp://www.geocities.co.jp/Playtown-Bishop/6737/ッス」

え〜宣伝はこのくらいで

ギン「最後まで読んでくださった方、へたれSSですみませんッス」

うむ、最後の方はよく解らなくなったしな

ギン「よく解らんものを送るッスか?普通」

大丈夫♪だって俺普通じゃないし♪

ギン「威張って言うことじゃないッス」

題名がなんか意味不明だね

ギン「題名だけじゃないッス」

それとあんまり暗くならないように所々であふぉなギャグ入れてます

ギン「それが余計にへたれ度をUPさせてるような気がするッス」

いちいち食って掛かるねおまえ

ギン「嫌々ながらも相棒ッスから」

まっいいや。では感想など送ってくれたら・・・踊ります

ギン「掲示板かメールでお願いするッス」

ではまた〜

ギン「次回は猫シリーズ!!(予定)