この物語は魔術師さんの『非日常の日常』という作品のバットエンドとして作られています
原作である『非日常の日常』の世界観を壊す恐れがあるので、そういったものがダメという方はお引き取りください
もし読んでいただけると言うなら・・・・・・・・・・・・・
覚醒の刃
〜〜恭也Vision〜〜
俺は震えていた
初めて味わう恐怖という名の攻撃に・・・・・・
(まずい・・・このままだと・・・・・このままだと・・・・・)
震えている俺に耕介さんが声を掛ける
「恭也君、そろそろ鬼ごっこはお終いかな?」
なんてことの無い言葉
しかしこの言葉を掛けられたことで、ついに俺は抑えていたものを抑えることが出来ずについに起こしてはならないものが・・・・・・・・・・・・・起きた
〜〜耕介Vision〜〜
俺は森の中で恭也君を探しながら歩き回っていた
気配を完全に消したようので、ハッキリ言って探し出すことが出来るか心配になり彼に聞こえるように声を掛けた
声を掛けたためか森の中でかすかに恭也君の気配を感じそちらに向かう
「さあ恭也君、そろそろ鬼ごっこをやめて終わらせようか」
恭也君は小太刀を納刀した状態で俯いたままで居た
このとき小さな違和感を感じたが気にせずに俺は十六夜を上段で構えた
その状態で暫くたったが変化が無く不意に彼に声を掛けた
「どうしたんだい恭也君?勝負をやめて神咲に入る気にでもなったのかい?」
そう声を掛けて暫くしてようやく彼に変化が見られた
肩が小刻みに震えている
そして・・・・・・
「ふふふふふ・・・ふははははははははははははははははははあぁはははははははは」
高らかに笑い出した
この後俺は知る
けして手を出してはならないものに手を出してしまったことに
〜〜???Vision〜〜
やっとのことで吸うことの出来た外の世界
なんともいえないものに俺はただ静かに呼吸をしていた
そして何を思ったのか
木偶の棒の・・・・何と言ったかな・・・・そう、槙原耕介だったかな
が声を掛けてきたことにより俺はハッキリと外の世界、そして自分が居ることを知覚した
まったく持ってあの野郎の強固な意志の強さと理性によって俺はずっと外の世界に出ることができなかったからな
まったく忌々しいが・・・あれだけ俺を閉じ込めておいたのはある意味尊敬に値するな・・・まだ完全に消えることなくまだ居るがまあ良い
もお俺と入れ替わることはあるまい
ひとしきり笑った後に俺は挨拶をする
「初めまして・・・・で良いのかな、槙原耕介・・・・・」
そういって俺は目の前に居る男に微笑みかけた
〜〜耕介Vision〜〜
俺は背筋に冷たい汗が伝うのを感じていた
目の前にある妖しく蠱惑的で禍々しい微笑をたたえている恭也君に対して俺の体は固まってしまった
金縛りに遭ったかのごとく動かない体を叱咤し恭也君に声を掛ける
「何を言っているんだい恭也君・・・いきなり初めて会う人間に対して挨拶すうようなことを言って・・・・」
構えを解かずに油断せずに恭也君にそう質問する
殺気をまったく感じないが何か俺の中の感覚が訴える
(・・・・・・こいつは危険だ・・・・・・)
そんなことを思っていると
「はははは。ああ、失礼しました。俺は高町恭也で間違いではありませんがあなた方の知る恭也ではありませんよ・・・・・」
本当に楽しそうに笑う・・・・
こんなに笑う姿を見るのは初めてじゃないか・・・・
常日頃からどこか周囲に対して警戒をしている節の見られる
そんな恭也君がこんなに笑う・・・・
その姿に違和感を感じながら俺は彼の話を聞く
〜〜恭也?Vision〜〜
俺は自己紹介をはじめることにした
何を言おうとこいつらに対して俺は感謝しても、し足りないくらいだ。少々時間をかけながら俺について説明をしよう
「そう、俺はある意味高町恭也なのかもしれない。あなたたちの知る高町恭也とは、あまり自ら目立とうとはしず、自分を出さず、なんでも自分で背負う・・・・そんな男だと皆さん認識していますよね・・・・・・
しかし、人は誰しも少なからず闇を抱えている・・・本当にあなた方の知る恭也は、彼の全てなのか・・・・
いいえ、違います
奴を表と例えるなら、今の俺は裏。奴を光と例えるならば、今の俺は闇。
そんな関係です・・・・・」
「・・・・恭也君はどうしたんだ・・・・・・」
少々説明を終えて一息ついているとそんな質問をしてくる槙原耕介
ふむ、どうしたものか
「あなた方の知るあいつなら、今は深い深い眠りについていますよ。他にご質問は?」
「お前は一体なんだ・・・・・そして、どうしてそこまで俺に対して丁寧に答える」
良いことを聞いてくれましたね
なかなかの核心を突く質問ですね
ですが同時に悲しいですね
おっと質問に答えなければいけませんね
「俺が何なのか
そうですね・・・あなたは高町恭也の幼少期についてお存知ですか?
殺人剣・御神流を今に伝える名門・不破家
そんな不破家の天才と言われ、事実ありとあらゆる敵を排除し多方面においてもそのありとあらゆるものにおいてその才能を発揮していた不破士郎
しかし、そんな彼にも欠点はいくつもあります
まず女を見る目が無かったこと、生みの親であり理由も不明なまま姿をくらました・母夏織
そして・・・・まあ、これからの方が重要ですが・・・・・
士郎は、人を育てるのが下手でした・・・・・
褒めることも優しく諭すこともせず、ただ教える
甘えることなく、支えられることなく過ごしていく幼少期
まあそれでも子供の頃から利発でしたからそれでも何とかなったんですけどね・・・こいつは・・・・・
そして最後が父・不破士郎の死・・・・
このことによりこいつは一気に流転する渦に飲まれましたね
自分に対して甘やかすことなく、厳しいなんて言葉が生ぬるいくらいの制約を自らに課し、続ける鍛錬
支えるだけで、甘えることなく、支えられることなく過ごしてゆく日々。そんなことの繰り返しにより少しずつ肥大化してゆく闇・・・・・ここまで言えばもお、お分かりですね」
「それがお前だと・・・・そういう事か・・・・」
「正解です
あぁ、もうひとつ質問がありましたね・・・・
俺は感謝しているんですよ・・・・神咲薫、そして槙原耕介・・・・あなた方二人にね。
あいつ・・・・高町恭也は本当に強い男なんですよ
あまりにも強固な理性
人とは思えないほどの強い精神力
この二つによって俺は常に呪縛されていた・・・しかし、そんなある日、急に俺に対してあった強い呪縛が緩くなった
そう、神咲薫・・・彼女の登場により呪縛が少しずつ少しずつ解かれて言った
修羅になることを恐れて恭也を止める・・・・そんなことをしなくてもこいつは自分の守りたいもの、大切なものを見失うことなど無いのに・・・・・
修羅になることがなくなりますます親密になる二人
しかし皮肉なことに俺に対しての警戒がどんどん薄くなる・・・・
だがそれだけでは、決め手が後一歩足りなかった
そんな時起こった自分の未来をかけた神咲の人間との戦い
消耗した状態で戦い初めて感じた恐怖によりやっと俺が出ることができたというわけですよ・・・・・感謝しても、し足りない理由、分かっていただけましたか」
俺は説明を終えると少し体を解きほぐすと無造作に耕介の間合いに入り声を掛ける
「あなたに人を殺す覚悟がありますか?」
「な・・・何が言いたい」
「そのままの意味ですよ。己が手を血で汚すだけの覚悟がありますか?」
「そ、そんなのはお前に関係ないだろう」
「その言葉を聞いて安心しました♪」
反射的に振り下ろされた耕介の十六夜
その太刀筋は並の人間ならかわすことなどできずに絶命したであろう鋭さであった
そんな攻撃を俺は軽くかわす
そして次の瞬間俺は・・・・・
〜〜耕介Vision〜〜
剣を振り下ろした次の瞬間、俺は何が起こったのかわからなかった
楽しそうに笑いながら語る彼を見て少々警戒を緩めてしまったけど無防備に間合いに入ってきた彼に渾身の一撃を振り下ろした
ある意味、図星を指されて癇に障ったのかもしれない
『人を殺す覚悟』そんなもの出来るはずが無いじゃないか・・・
そう、彼ならよけることを期待して・・・そして人を殺すことにならないことを期待して
〜〜闇恭也Vision〜〜
冷たく見下ろし耕介に声を掛ける俺
まったく、何を考えているんだこいつは
「阿保か・・・あんた
相手を殺す覚悟も無く、神咲ごときの連中に天才天才とおだてられて天狗になってたのか?
この木偶の坊・・・・・
どうだ、さっきまで圧倒していた人間に足蹴にされるのは・・・・
まあ手足を切断された状態じゃあもう死ぬしかないか・・・・・」
そういった後何度も蹴り転がす
耕介が剣を振り下ろした次の瞬間俺はこいつの手足を切った
まるで犬のように短くなった手足
そのことにまだ気付いていないようだ
・・・おっと、血が吹き出てきた
「が、がぁっぁふぁぁあああああううぁあぁあああああああ」
う〜〜ん良い叫び声
ゾクゾクするね・・・こんな声を聞いていると
「良い声するじゃないか・・・・・・
可愛そうだね〜〜〜馬鹿みたいに大きな霊力を持っていると・・・・死にたいのに傷が自然に治っていく
まあ楽に殺さないから安心してくれ
じっくりとイタブリながら殺してやるから・・・・・・・・
恨むんなら人を殺す覚悟がないのに俺と死合をした自分の浅はかさと俺が出てくる切っ掛けをつくった自分を恨みな・・・・・・・」
「こ、こ、殺さないでくれ・・・・・愛さん、薫、・・・・・あ・・・・助けて死にたくない・・・・・俺・・・・死にたくない
何で俺が死ななくちゃいけない?ただ俺は剣を習っただけ・・・・・・なのになんで・・・どうして死ななくちゃいけない・・・・・・イヤダ、いやだ、嫌だ〜〜〜〜」
良いね
この怯えきった表情
惨めな命乞い
悔しいことに今、カメラを持ってないの惜しまれるね〜〜〜〜
「もぉ、お休み・・・・・
なに怖がること無いさ・・・・すぐに神咲の連中が後を追うから
ジジババに野郎どもはすぐに殺してやるから
あぁ女供はダメだな、俺の所有物として生かしておいてやら無いと
まあ話もこれまで・・・・・アバヨ」
ひとしきり話を終えると俺は喉に八景を一突きし殺す
生命を奪う
これほどの充実感と開放感は他では味わえないな
さあ、今度は神咲の連中だな
女は俺の奴隷として置けば良い
男供は皆殺し
ジジババは玩具にしてやれ
「・・・・・・・・さあ、いこうか・・・・・・」
ここに至上最凶最悪の御神が誕生した
禍々しい微笑で他者の命をいとも容易く奪う・・・・・・
もう何者にも彼を止めることは出来ない