深夜の遠野家の屋敷の裏門。
アルクェイドに付き合って深夜の町を徘徊し、疲れていたからかもしれない。
突然自分に襲い掛かってきた男、奇妙なことに体中に包帯を巻いていた。
闇夜に煌く一閃。
包帯男の手に握られたナイフが志貴の体の線をなぞるように繰り出されている。
「なんだ!?この男にも見えるのか?」
困惑した志貴も必死に抵抗をするが、追い詰められてしまった。
『だめだ、死を突かれる』
そう思った瞬間に目の前の男が突然吹き飛ばされた。
「助かったのか?」
男の体に突き刺さる巨大な剣のようなものを、どうやら誰かが投げてくれたらしい。
志貴はその人を探して視線を転じた。
電柱の上に人のシルエット。逆光になっているため志貴からはその顔は見えない。
しかし、その手には確かに例の剣のようなものが輝いていた。
志貴は自らの瞳を疑った。
電柱の上に立つ人物はなぜかカレーを片手に、
黄色いタイツのようなものを着ていた!!!!?
「黄、黄レンジャー!?」
なぜか志貴はその人物が良く知っている気がしてならなかった・・・・・・
志貴の頭が急にボーっとして、まるで熱病にかかったようになった。
『目の前の女、あの白い肌を・・・・・・はやく・・・・・・はやく・・・・・・』
『どうしたってんだ、遠野志貴は・・・・・・目の前の女なんて知らないのに。
なぜ、俺は後を追っている?』
ふらふらと、女の後を追って歩いていく志貴、金髪の女は自分が尾けられてるなんて、まったく気がついていない。
女がやがて、自分の部屋に戻る。
『しめた、これでやっとあの女に・・・・・・』
インターホンを押し、女が扉を開いた。
開いた扉に足をねじ込み強引に部屋の中に忍び込む。
『ああ、これでやっとこの女を・・・・・・殺せる』
女が何か文句を言おうと形のよい唇を開いた。
メガネをはずした俺には女の体を走る無数の線、死の線が見える。
後はこれをなぞるだけで殺せる。
ポケットのナイフを取り出した。
その瞬間
惨劇が起こった。
視界が真っ赤に染まる。
「ぐぇぇぇぇぇぇ」
「ちょっとあなた、何突然人の家で吐いているのよ!」
女が怒鳴るのを尻目に俺は思い出した。
自分が末端恐怖症だったことに・・・・・・
その3、
「志貴、これがあればあなたは、普通の生活に戻れるのよ・・・・・・」
「本当先生?」
「ええ、姉貴の所から盗んできた品物だからね。効果は抜群よ」
そういって、先生は品物を僕に差し出した。
「先生、でも僕は別に目は悪くないよ」
「大丈夫、度は入ってないわ。線が見えなくなるだけだから」
その時、草原に一陣の風が吹いた。
「あっ!!!」
とつぜん先生が草原にはいつくばった。
「どうしたの先生?」
そういって、先生のほうに行こうとする僕に
「動かないで!!」
と、大きな声で怒鳴った。
僕がびっくりして一歩後ろにあとずさると、パキッと、足元で乾いた音がした。
僕は夢にも思わなかったんだ・・・・・・。
先生が持ってきたのが、魔眼封じのコンタクトだなんて・・・・・・
ホテル中に血の香りが充満している。
目の前のエレベーターから、黒い巨大な犬が飛び出してきた。
獲物を見つけた犬どもは獲物、つまりこの遠野志貴に飛び掛ってくる。
それを何とか避けた。
すれ違ったとき、やつらの体はひどく血生臭かった。
こいつらが、下の階のホテルの客を食ったんだ・・・・・・。
そう認識すると、恐怖に震えていた先ほどまでと違い血液が沸騰し始めた。
頭は、混乱のパニック状態が治まり、冷静さを取り戻していった。
制服のポケットに手を突っ込み確認する。
あった、七つ夜のナイフだ。
次は、確実に殺す。
そんな態度で黒い犬は壁を蹴って、風を巻いて襲い掛かってきた。
『ふざけるな。殺すのは俺だ・・・・・・』
一瞬、先生のことを思い出した。
死の線を見るためにレンズをはずす。
「まずは、右目から・・・・・・。いてて、張り付いてら」
「だめだ、コンタクトは外すのに時間がかかるよ、先生。」
それが、死の顎に噛み砕かれる直前に、遠野志貴が考えた最後のことだった。
魔術師の戯言
本当は鉄券さんみたいに、
こんな月姫はいやだ!!
1、先輩が黄レンジャーだ
2、志貴が末端恐怖症だ
3、志貴がコンタクトだ
4、コンタクトじゃ即死だ
って、簡潔に要点だけを尽きたかったんですが、絵がないと伝えきれない気がして・・・
ただの、くだらないショートショートになってしまいました。
反省。