時計塔の淑女 遠坂凛


いや、これだけ見てるとすごい淑女に見えますね。
時計塔で魔術と同じくらい研磨された猫被りがここにある。
この擬態はある意味魔法なんじゃないか?

桜エンドで出てきた数年後の凛

でも、紅茶を片手に幸せそうに微笑む彼女の横には、きっと彼がいるに違いない。

真直ぐで、朴念仁で、純粋で、頑固で、けれど見違えるほどに身長が伸びた衛宮士郎が・・・


そろそろ、ネタ切れ気味じゃないか?と自問しつつ今回もショートSSだぁ!


ザワザワとさざめくロンドンの大通り
遠坂凛は、柔らかな冬の日溜りのカフェテラスで、優雅にティータイムを楽しんでいた。
街行く男の大半が振り返り、その半分がしばし足を止める。
数年前の少女の面影も今は昔
アイドルから淑女へと転身した遠坂凛は、イギリス王室の足下にある由緒溢れるロンドンにおいても、変わらずに遠坂家の家訓を護って生活していた。

「いかなる時でも優雅たれ」

紳士淑女の町ですら、他の誰よりも優雅な佇まいを崩さない凛のポリシーでもある

足を止めた男の中で、勇気ある男が彼女に声をかける。
それを笑顔を崩すことなく、軽くあしらってまた一口紅茶を飲む。
また別の男が凛の前に立った。
先程と同じく笑顔を崩すことなく対応するが、今度の男はその粗野な風貌に負けないほどの乱暴さで凛の腕を強引に握った。

「勇気ある男だ」

遥か遠くで、衛宮士郎は溜息をつく。

「何すんのよ!!」

被っていた猫を脱ぎ捨てた「あかいあくま」が、100キロは有りそうな巨漢を張り倒す。
唖然としている周りの視線などなんのその、優雅な仕草で髪を整えると、何事もなかったかのようにティータイムを再開する。

「待たせたな、遠坂」

士郎の声に見せた凛の笑顔に、足を止めて彼女に声をかける機会を覗っていた男達もすごすごと退散すしはじめた。

「士郎、遅いわよ、私男にからまれたんだからね。
正義の味方が女子一人助けられなくてどうするのよ」」

けんもほろろな先程までの対応と違い、悪戯っぽく微笑む遠坂。

「悪かったな、誰かさんのせいで走ろうにも走り出せなかった」

士郎の横には山と詰まれた買い物の箱
靴やら服やら帽子やら、今日一日町中を歩き回らされた成果が積んであった。

その、本当に山のような荷物を地面に置き、凛の向かいに座った士郎に彼女は事も無げに言いやがった。

「さてと、お店を出ましょうか?」

「・・・・・・なんでさ?」

何を言いやがったか、このあかいあくまは・・・

正直、衛宮士郎は疲れていた
自分の身長を遥かに超える荷物を持たされ、あの店がいい、この店が良い、やっぱり最初の店に戻る、と、典型的に長くて男には辛いだけの買い物ツアーで一日を過ごした士郎にとって今日始めての休息だというのに・・・。

「だって、士郎の入れてくれる紅茶の方が美味しいんだもん」

・・・・・・不意打ちだろ、その言葉とその表情は
衛宮士郎は逆らえない、そう基本的に遠坂凛には逆らえないのだと痛感される。
骨の髄まで染み込んだ上下関係のせいか、それとも・・・・・・惚れた弱みなのか?

「ほら!!行くわよ!」

返事も待たずに歩き始めている遠坂凛
彼女の後ろを、重い荷物を持ってよろよろと歩く衛宮士郎。



「まてよ、遠坂」

溜息を一つ、

「早く来なさい、士郎」

遠くであくまが呼んでいる




―――――きっとこれも一つの幸せの形。

やべ、妄想とか、ギャグじゃなくて、何だか綺麗にまとまってしまった
こんな風に小出しにネタ出していくと自分がSS書くときのネタがなくなりそうでちょっぴり心配
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