【注意】このSSは『真くんと一緒 邂逅編』の続きです。
    そのため、設定などにそちらを読んでいないと理解しにくい箇所があります。
    まずは前回のSSを一読して下さいますと、幸いです。
    それと今回、妄想の暴走がさらに酷くなってます。
    前の話を読んで気分が悪くなった方は、読まない方がよろしいかと。

 

 

 

 

 

 

 


真一郎君がさざなみ寮へ泊まりに来て、三日目。
初日ひたすら悩んでいたのが馬鹿馬鹿しくなるほど、俺こと槙原耕介と真一郎君との間には何も起きていない。
というのも、真一郎君が日中は出かけていたからなのだ。
休日中とはいえ、年頃の子が一日中家に篭りっぱなしなわけないよね。

………ふぅ。

ってなんで俺は残念そうにため息をついているんだ?

そして三日目の夜。
このまま何事も無く過ごしていけると、そう考えて気を抜いていた俺に事件は起こるのであった。

 

 

 

真くんと一緒
接触編

 

 


当初の取り決め通り一日ごとに寝場所の交代を行ったため、今俺は床に布団を敷いて寝ている。
いや、正確には布団に入っているものの、眠ってはいないのだが。
不思議と、全く眠気が沸いてこないのだ。
夕食の後真一郎君に淹れてもらったコーヒーのせいだろうか。
こうして寝そべっていると、

「……うにー…」

…時々ベッドの方から不思議な寝言が聞こえるが、あえて無視している。

――『うにー』って何なんだ『うにー』って!
――それで可愛いつもりか!?
――ああ可愛いともさ!!

うん、無視できてないね。

「……う、うぅん……」

だからなんでそんな悩ましげかつ艶のある声を出してくださるんですか真一郎君。
女の子だってこんな声そうそう出せないぞ?

「――いかん、早く寝なければ」

自分に言い聞かせる俺。
この状況で悶々とするのは様々な意味で精神衛生上よろしくない。

――と、真一郎君のベッドから、それまでと違う音が聞こえた。

「……ん、ん…」

ベッドの軋む音と、そして何かが床に着地する音。
どうも、真一郎君がベッドから起き上がった様子。

「…ふにゃー……」

寝ぼけているのか、意味不明な、しかしどこか愛嬌のある鳴き声(?)を発しつつ、部屋の出入り口の方へ向かう真一郎君。
そしてドアの開く音。
遠ざかる足音。
…トイレか何かだろうか?

そんな疑問を抱えつつ、待つことしばし。
遠くから、水の流れる音がした。
どうやら、トイレで間違いないようだ。

真一郎君の足音が俺の部屋へと近づいてくる。
再びドアの開く音。

「……ふにゅー……」

やっぱり寝ぼけたままの真一郎君は、覚束無い足取りで部屋を進み――
そのまま倒れこむように布団に潜りこんだ。

「!!!!!!???????」

俺は、声が上がるのを必死で我慢した。
何故ならば……真一郎君は、【俺の布団】に潜ってきたからだ。

何?
どうなってのこれ?
もしかしなくても真一郎君寝ぼけて間違えちゃったんだよね!?

「…んぅ……」

彼我の距離は10cm以下!
手を伸ばせば…どころか、少し動いただけで接触しちゃうよ!?

どうする!?
どうすればいい!?

いや、どうもこうも無い。
真一郎君を起こしてどいてもらうか、俺が布団から出ればいいのだ。
そうすれば万事解決!

―――別に男同士なんだ、一緒に寝てもやましいことは何もなかろう?

また変なナレーションが!?
いやむしろ俺の中の悪魔の囁き!?
でも駄目だ騙さされないぞ。
だってこの状況に長く晒されたら理性とかなんかそういう最終防波堤が崩れてしまうやも…!

……そう、俺があれこれ考えていた矢先だった。

「……んむ……」

真一郎君が寝返りを打った。
しかも俺の方向に。
先ほど言ったとおり真一郎君とはほとんど離れていない。
そんなところでさらに近づいたらどうなるか。

「ホ、ホア…!?」

意味不明な声を出してしまう俺。
今の位置関係は、ちょうど俺の胸元に真一郎君が顔を埋めているような形になっている。
互いに距離はなくなり、接触…否、密着状態。
頭だけでなく、腕や足も俺の身体に絡んでいる。

…うわ、真一郎君の肌すべすべだぁ。

何を考えている俺!!!!!!
いかん、冷静に…そう、COOL COOLになるんだ!!

―――おいおい。
―――ここまで誘われてるんだぜ?
―――ヤらない方がおかしいってもんだろう。

黙れ悪魔!?
今必死なんだから!

―――なぁに、一度ヤっちまえば、後はどうにでもできるさ。
―――こいつを自分のモノにすることだって…

あああああああ。
やばいやばいよ、このままでは流されそうだよ?

そ、そうだ。
悪魔がいれば天使だっているはずさ。
俺の中の天使!
頼む、煩悩を、煩悩を打ち払ってくれぇ…!!

―――そんなことをしてはいけません。

おぅ、エンジェル!?

―――何事にも順序というものがあります。
―――いきなりヤるのではなく、ここはまずキスから始めましょう…

お前天使じゃねぇえええええ!!!!

「……うーにゃー…」

ホッァアアアアアアア!?
真一郎君が!
真一郎君が俺の胸に額をぐりぐりしてきてるよぉおおお!!?


プツンッ


――そのとき。
何かが、切れる音がした。

 

限界だ。
もう我慢できない。

だって真一郎君、女の子の匂いするもん!!!

もういいよね!
ここで前後不覚に陥ってヤっちゃったとしても、誰が俺を責められようか!?
ヤるよ!?
ヤっちゃうよ!!?
もはやこの昂ぶりは抑えられないよ!
そう思うだろう、アンタも!!

そんな滅茶苦茶な思考に後押しされ、俺の両腕はとうとう真一郎君の身体を抱きしめ……


「――――うっ…!?」

 

……………
…………
………
……

 

途端に冷静になる俺。
いや、なんて変なこと考えてたんだろう。
いくらなんでも男の子を襲っちゃったら駄目だって。
女の子ならOKってわけでもないけどね。
まあ哺乳類的なプライドっつうかなんつうの?

そんな弁解を頭の中で並べ立てながら、静かに布団から抜け出す。
幸いなことに、真一郎君が気づいた様子は無い。
そのまま足音を忍ばせつつ、部屋を出る。

 

「……さて、パンツ洗わなくちゃ」

 

 


最低な終わり方で次回に続く(?)

 

 

 

 

あとがき

どうも、S&Gです。

なんかもう色々とごめんなさい。

こんなSSを読んでくださった方ありがとうございます。

ついでに耕介×真一郎カップルに投票なんてしていただけると、もっと嬉しいです(笑)

ではでは〜


 魔術師のお礼参りお礼状

うん、最低の終わり方だね。w
耕介さん、意外とはや・・・なんでもないです。
個人的に笑ったのは、だって真一郎君、女の子の匂いするんだもん。
って、おい。
匂いかいだんかい!!
ってか、女の子の匂いって何さ!!
とか、いろいろ突っ込みたいところはある。
しかし、本当に突っ込みたいところは其処ではない。

確かに、真一郎なら不思議はないな、と思った自分に突っ込みたい。

さてさて、この妄想暴走大迷走の耕介さんはこの後どうなるんでしょう?
あと、真一郎が昼間何処に出かけているかも気になるところ。

・・・・・・・実は、真一郎が確信犯で誘惑してたって落ちだったらどうしよう(汗

感想などは前回と同じ方式でよろしく。


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