何はともあれ、取り合えずいつも通り言峰に聖杯戦争への参加を報告しに行くことにした。

今は遠坂と二人、言峰教会への道をえっちらおっちら歩いている。
背中に
パンドラボックス担いで!!

オレは、カプリコーンの、遠坂はサジタリアスのを背負ってるわけだ。

しっかし、これがまた重い・・・。
もう2時間歩いてるのに、未だに橋までつかないくらいだ。

「もう嫌!これ捨てる!!」

何度目かわからないが悲鳴を上げる遠坂をみて考える。
サジタリアスのパンドラボックスだけに、いつぞやの初登場時よろしく。

一輝が中に入ってるんじゃないかって・・・。

「・・・はは、まさかな」


聖闘士Fate

〜白銀篇〜


そもそも、何でマスター二人がこんな目にあってるかというと・・・

―――2時間前―――

「さて、あんた達、霊体にはなれるわよね」

その質問に頷くセイバーとアーチャー。

「じゃあ、話は早いわね、私たち出かけるから霊体になってちょうだい」

何故か、渋るセイバーだが、渋々という形で霊体になったのかその場から消える。

二人が消えた瞬間、自動的に黄金聖衣がそれぞれ山羊座と射手座のプラモデルになった。

「じゃあ、行くわよ」

と玄関まで来て目を疑った。
空中に浮いている2個の黄金聖衣。
どうやら、歩き出した俺らの後ろから、オブジェが空中に浮かんで憑いて来てる、いや付いて来たらしい。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

思わず、無言で立ち尽くす士郎と凛。

どうかしたか?

心底不思議そうなアイオロス。

「あんたこそ、
頭はどうかしたか!!?

「やはりこれで付いて行くのは無理だろうな。
しかし、俺らは霊体になるとクロスごと移動するしかないのだが・・・」

「なんでさ?」

「オレらの魂は
死して後もクロスとアテナと共に在るからだ」

遠坂が誇らしげに電波を発する我がサーヴァントに頭を抱える。

「大丈夫、オレはしょっちゅうこれで移動してたぞ」

大丈夫のわけないでしょ!!こんな目立つ
ポルターガイスト連れて歩けないわよ!!」

「じゃあ、俺らが二人を抱えて走るか?」

確かに光速で走ってる人間は肉眼じゃ捉えられない。
それは、さっきのセイバー対モヒカンで体験したから間違いない。

光速で走れるって、既に人間という存在に分類可能かわからないがな。

「・・・凄い近所迷惑ね」

確かに・・・。
コンコルドよりも速い物体が、地上の、しかも住宅街を疾走って、被害が量りきれん。

「ムウかシャカが居ればテレポーテーションで送ってもらえるんだがな」

「誰だ?ムウとかシャカって」

「同じ黄金聖闘士の仲間だ」

「ちなみに、ムウは
麻呂みたいな眉毛で、シャカは初対面の人間にいきなり跪け!と強要する男

凛と士郎の人類の認識から外れた、のは言うまでもない。


しばし黙考


「じゃあ、抱えて走ってもらうしかないかしら」

「待て!俺は反対だ、遠坂」

「何よ士郎?」

「想像してみろ」

「何をよ?」

セイバーにお姫様抱っこされる俺を!!

どう見てもヤクザにしか見えないシュラに、抱っこされる赤毛の少年。

ゴクリ、と唾を飲む凛。

「・・・・・・歩くしかないわね

凄い物を想像したらしい。

「遠坂・・・」

「何よ!?」

「何故、
鼻血を吹く!?
お前、腐女子か!?」

「・・・・・・さあ、行くわよ」

「待て〜〜〜〜〜〜!!」











という事情で歩く羽目になったわけだ。


「ねえセイバー」

「何だ?」

「貴方、生前のアーチャーの知り合いよね?」

むしろ、生きているアイオロスを一番最後に見た男
半殺しにした本人だし。

「・・・ああ」

「だったら、アーチャーの宝具を教えてくれない?」

「え!!?」

冷や汗をかくアーチャー。

「宝具・・・とは?」

「貴方のエクスカリバーみたいなやつよ」

「エクスカリバーは厳密には宝具というか、技なんだが・・・って聴いてないな」

「何だ、遠坂、お前アーチャーの宝具知らないのか?」

「うっ・・・、それがね、彼ね、召還の時私がトラブちゃったから記憶が曖昧なんだって。
ゆっくり思い出せば良いかなと思ってたのよ、アーチャー強いし」

「で、どうなの、セイバー?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・無いな

「え、知らないの?」

「いや、アイオロスは宝具というか
必殺技が無い

気の毒そうに目を逸らしているセイバー。

「シュラ、余計な事を!!」

「アーチャー、あんた
無いのは記憶じゃなくて宝具そのものじゃないの!!」

「失礼な、技くらいあるぞ!
アトミックサンダーボルトが・・・」

ダサッ!!!!

弟の技をパクルなよ・・・
しかも、それ
アニメオリジナルだし」

「遠坂、顔色悪いぞ大丈夫か?」

「・・・まあ、宝具がなくてもアーチャーは基本能力が尋常じゃなく高いから」

といいつつ、頬が引きつっている凛だった。

「そうなのか?」

「だって、光速の速さで動けるのよ」

「・・・あーー」

気まずそうに視線を逸らす士郎とセイバー。

「ゴメン、遠坂、それうちのセイバーもできるから」

「え!!?」

「というかな、黄金聖闘士は皆光速の動きを持っている」

「皆!?」

「いや、
あたりは目覚めているか怪しいけど・・・

「蟹ってだれよ!!?」

「あ、教会に着いたぞ凛」

「アーチャー、あんた何話題逸らそうとしてるのよ」

「俺は、君が召還した聖闘士だ、最強でないわけがあるまい」

そもそも、召還したのはサーヴァントで聖闘士ではない

「あんた、セイバーに半殺しにされた時点で
最強じゃないじゃない」

グサグサ

アーチャーと、ついでにセイバーの古傷までえぐる。



っていうか、宝具は
黄金聖衣だと思うんですが・・・





教会の扉の向こうでは、言峰が今か今かと二人が入ってくるのを待っていた。