デスマスクが、残るライダーの情報を持ってきてくれてから、早3日。
その間、衛宮士郎は、セイバーからの物凄い修行を課されていた。

情報が齎されるまでの修行は、基本的に「死と隣り合わせ」というレベルだった。
セイバー曰く

小宇宙(コスモ)の究極であるセブンセンシズに目覚めるために、
生と死の極限の狭間で、自己の最も深い部分、第六感すら超えた心象世界に追い込む必要がある」

との話だった。
それが、ライダーの情報を齎された後の修行は、「臨死」だ。

血止めの真央点を突いて貰う事12回、デスマスクに積尸気まで迎えに来てもらう事8回。
あまりにも死の傍に居すぎて、なんかもう「直死」に目覚めてしまうんじゃないだろうか。

特に、今日は本格的にやばかったらしく、

「ルネが、適当に判決出そうとする前に止めてくれた、ラダマンティスに感謝しないと・・・」

「てか、セブンセンシズよりも先に、阿頼耶識(エイトセンシズ)に目覚めてしまうんじゃないか?」

「って言うか、普通に死ぬだろ

そんな、師匠たちの発言に、追い込まれすぎた精神が磨耗していきつつ、衛宮士郎が気を失ってしまった。


聖闘士Fate・番外編

獅子(レオ)道場

〜聖域篇〜


士郎の視界に映るは、何処か既視感めいた何処かの道場。
だが、いつか何処かで見たような道場なのに、たった一人の男の存在が世界を一変させていた。
太い眉、引き締まった口元、眉間に深く刻まれた皺。
その全てが、目の前の男の生真面目さと意志の強さ等、男の内面を表している。

青年は世界から浮いている。
板張りの道場にも拘らず、何処か適当な雰囲気のこの世界。
後ろの掛け軸には『なか卯』とか、書いてあるし。

浮いている、と言っても、この青年、金色の髪にも拘らず、白い道着と紺の袴が異様な程似合っている。
劇画調の武道家そのものの佇まいの彼と、落書のような気の抜けた周囲の風景が噛み合わないのだ。

例えて言うなら、エッフェル塔の下に佇む侍、というか、シベリアでノースリーブで修行する某師弟というか。
ああ、ベルサイユの薔薇に混ざったフェニックス一輝、という感じ!!

「文句があるなら、ベルサイユにいっらしゃい」

という、台詞の後に、突然マリー・アントワネットに鳳翼天翔!!みたいな。

「違う・・・」

目の前の青年が、クワッと目を開く。

「ここは違う!
(タイガー)獅子(レオ)は似て否なる存在」

『ライトニング・ボルト!!』

光の線が幾重に走り、落書のような世界が、ガラガラと音を発てて崩れていく。
そして、眼下に広がるのは、ローマのコロッセオのような世界。

「そうだ。修行と言えば、聖域(サンクチュアリ)だ」

うんうんと満足げに頷く。

「アイオリア、いい加減にしたまえよ、君。
いつまで、私を待たせるつもりだ、さっさと、始め給え」

サクッと、あらぬ方向から飛んできた薔薇に、そんな内容の手紙が括り付けてあった。
矢文ならぬ薔薇文だ。

「物語の途中で死んでしまった哀れな主人公の救済所、レオ道場。
師匠のアイオリアだ」

不機嫌そうなアイオリアの後に続くように、飛び出してくるもう一人の影。

「そして、弟子一号こと、アフロディーテだ」

『ライトニング・プラズマ!!』

出てきた早々、いきなりライトニング・プラズマで吹っ飛ばされるアフロディーテ(弟子一号)

「いきなり、何をする、師匠」

「黙れ!!お前こそ、いきなり何なんだ!!」

「仕方ないではないか!
私の役どころが、弟子一号(ロリ・ブルマ)なのだから」

「俺は、ブルマを履いている奴など、男として認めん!!

というか、ブルマを履いている男なんてそうそう居ない

「そもそも、足の毛まで綺麗に剃りおって。
お前は一体何を考えてるんだ!」

「笑止!
すね毛がボーボーのイリヤスフィールなど、ファンは誰も納得せんぞ!」

お前がイリヤスフィール役な事自体、誰も納得せんわ!!

「バカな!88の聖闘士の中で、随一の美貌を誇り、
天と地のはざ間に輝きを誇る美の戦士という恥ずかしい通称の持ち主である私に不満があるのか?」

「本当に恥ずかしいな、その称号。
あと、女性聖闘士に、特にマリンに謝れ!!

私情が混ざった、微妙なツッコミにも耳を貸さずに、ブツブツと自己の世界に埋没するアフロディーテ。

「・・・とすると、私以外で該当者になるのは・・・ミロか?」

『ライトニング・プラズマ!!』『ライトニング・プラズマ!!』『ライトニング・プラズマ!!』『ライトニング・プラズマ!!』『ライトニング・プラズマ!!』

「そんな、おぞましい物見たくも無い!!」

「わかったわかった、次回からは弟子一号役は何とかする。
とりあえず、今回は私で乗り切るぞ」

しかし、光速拳をアレだけ連続で浴びながらも、顔だけは無傷ってのは凄いと、士郎も感心する。
というか、次回があるのか!?

「当然次回もあるだろう。
士郎君がBAD ENDになるたびにここに来るのは、本編同様の仕様だ」

「しかし、我が兄アイオロスが一緒とはいえ、士郎もあの黄金聖闘士達相手にして、初めてのBAD ENDだからな。
かなり、がんばっているではないか」

「むしろ、もっとドンドン死んでもらわないと、私達の出番が無いではないか」

「いや、弟子一号。
さすがにBAD ENDを望むのはどうかと思うんだが」

「甘いぞ、師匠!
私が該当するかもしれなかったアサシン役のデスマスクは、もうセイバー役のシュラを喰わんばかりの活躍だぞ!?」

「いや、それは、デスマスクのキャラ立ち故だと思うぞ。
それに、俺はどっちにしても該当はバーサーカーだったからな」

ああ、バーサーカー役じゃ、台詞がないものな。

「というか、さっきの該当者云々てのは・・・」

「そうだ、私や師匠のように、もう本編に出ないのが確定しているキャラだけが、この道場に来れるのだよ」

「ミロももう出番無いのか。
アイツ、ギルガメッシュ役で出る気満々で、マントをバサツと翻して登場シーン練習していたのに」

「いや、ミロがギルガメッシュって、それはありえ・・・」

「言ってやるなよ」






















・・・・・・俺の救済は?
士郎の呟きが虚空に響いた。


魔術師の後書き

番外編、というか、何?
昔、冗談でタイガー道場ならぬ、聖域道場篇とか書いたら
読みたいと言う声を頂いたんで、番外編と言う事で書いてみました。
本編とまったく関係ない内容なんで、読み飛ばされてもストーリーには影響がないです。

というか、あってたまるか!!

作中でも言ってたように、ここに登場できるのは、
本編に出てこないキャラのみ。
サーヴァントは勿論、ムウも駄目です。

虎に似てて猫科でもあるし、キャラ的にも師匠=アイオリアは決定でしょう。
弟子一号は、アフロしかありえません。
髪の色も近いし・・・というか、ミロはしゃれになりません。
なんか、ブルマ+すね毛という駄目絶対領域なイメージにw

さて、思いつきだけで適当に書いたんで、石投げたり批判とかやめてねー